トランプ関税の影響で、金を除くほとんどの資産が下落しましたが、ビットコインは一足早く回復が始まっています。4月頭には一時1000万円台まで下落しましたが、円高が進む中でも回復が進み、1300万円を超えてきました。
1400万→1000万→1300万
下記は、ビットコインの直近6ヶ月のチャートです。1月に1700万円近い史上最高値を付けたあと下落、トランプ関税の影響もあって4月頭に急落しましたが、一足早く回復を始めています。
下記は直近1ヶ月のビットコイン、ゴールド、S&P500のチャートです。トランプ関税ショックで株とビットコインが下がる中、ゴールドは順調に上昇しました。そしてそれを追う形でビットコインも回復しています。
リスクアセットからデジタルゴールドへ
直近のビットコインの動きを見てきた人は、株式と連動するリスク資産だと考える人が多いのではないでしょうか。しかしデータを見る限り、株・債券・ゴールド・ビットコインは別のアセットクラスだと考えるほうがよいと思っています。
「株式と連動するビットコイン」というのは、この1年ではあまり間違っていません。下記はSPY=S&P500とビットコインの相関(赤線)を見たものです。ほぼ0以上でつまり株価に連動してビットコイン価格が動いていたことが分かります(30日移動平均相関)。
ただこれはいつもそうだというわけではなく、株価が不調気味だった2023年はこのように0を下回る逆相関がかなり出ていました。
長期で見るとこの通り。株式とビットコインの相関は0以上と0以下を行ったり来たりしています。これまでの株式とビットコインの相関は、S&P500で0.27、NASDAQ100=QQQで0.33。そのくらいの数字です。
では、ゴールドとの相関はどうかというと、こちらが6ヶ月間の相関です。直近は急速に相関が増していて、冒頭に示したようにゴールドと連れ高になりつつあります。
直近1年について、ゴールドとS&P500の両方に対する相関を並べてみると、直近は確かに株式との相関が高く、ゴールドはたまに逆相関のタイミングがあることが分かります。
ちなみに長期で見るとこんな感じ。正直、あまりに揺れていて何にどう相関しているのか分かりにくいですが、実はゴールドとの相関は0.68と株式よりも高いのです。
仮想通貨分析会社サンティメント(Santiment)は、株価が荒れる中でもビットコインが回復し始めていることを指摘、マクロ経済の逆風にもかかわらず、ビットコインが2022年の弱気相場時ほど株式市場に依存していないことを示唆している」と分析しました。
マルチアセットの効果
株式は長期保有する場合に最も高いパフォーマンスが出ると考えられていますが、必ずしもほかのアセットクラスが株式に劣後するとは限りません。
直近数年を見ると、最もリターンが大きかったのはビットコインで次はゴールドでした。株が大きく上がったという印象を持っている人も多いと思いますが、実はそうでもないのです。
Diversifying with bitcoin, gold, and alternatives | BlackRock
特にビットコインは、誕生からこれまで、常に株式を上回るパフォーマンスを見せています。またコロナ禍後のインフレの中で、金は継続的に上昇してきました。
互いに相関の小さい複数のアセットクラスを保有することで、リターンは平均化されますがリスクは減少します。株式に加えてビットコインを保有することは、その高いリターンを享受するという意味だけでなく、互いのリスクを打ち消し合ってリスクを減少させる効果もあるというわけです。
リスク資産を見られがちだったビットコインですが、このところは再びデジタル・ゴールド色を増しているのかもしれません。