FIer: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIerを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

クレジットカードのデザイントレンド 番号レスから縦型へ

クレカが好きです。で、最も重視するのは還元率だったりするのですが、同じくらい券面のデザインも気になっていたりします。今回、nendoデザインに変わったエポスカードが届いたので、それを確認しつつ、昨今のクレジットカードのデザイントレンドを考えてみます。

nendoデザインのエポスカード

丸井の赤いカードといえば、丸井に行って買い物をしようとしたら必ず薦められるという懐かしのカードでした。ほかのカードと違って、即時発行、即時利用可能というのが百貨店カードらしくもあり。そこから数十年。

 

名称もいつの間にかエポスカードに変わり、tsumiki証券での投信積立に使えるということで、久々に作ったこちらのカードは、さらにデザインが進化しました。新しいデザインはnendoがデザインしたものです。 

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nendoは佐藤オオキ氏が2002年に創業したデザインスタジオ。建築からプロダクトデザインまで手がけていますが、流れとしてはモダンデザイン系統でありバウハウスの流れといった感じでしょうか。

 

ぼくが最も好きなプロダクトデザイナーは深澤直人で、無印良品のプロダクトや、携帯だと「INFOBAR」、そして生活家電の「±0」が有名です。アメリカの有名デザインファームIDEO*1の日本支社長を務め、90年代に一世を風靡しました。

 

佐藤オオキ氏は、その次の世代のデザイナーという感じでしょうか。でも、モダンでクリーンな感じは変わらずで、今の時代にマッチしています。Apple的なガラスとアルミ、そして無垢の木という素材感が、今のデザインの潮流なのでしょう。

ナンバーレスが普通に

さて、クレジットカードの券面デザインはこの1年で大きく様変わりしました。その大きなポイントは、やはりナンバーレスです。クレジットカードは、もともと券面に番号がエンボス加工されていました。これは、インプリンタと呼ばれる機械を使い、カードの上に複写用のカーボン用紙を敷いて、番号を転写するためのものです。カードをセットして、「ガシャ!」と動かして使うで、ガシャなんて呼ばれたりもしました。

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1990年代はまだICチップ搭載のカードもほとんどなく、磁気の読み取り機のない店舗では、この機械でカード番号を転写していたものです。よくお世話になったのは書泉グランデですね。ガシャガシャとしょっちゅうされていました。

その後、ISDNの普及とともに磁気読み取り機が普通になります。さらに1993年に作れたクレカICの共通仕様EMVによって次第にクレカにICチップが載り、暗証番号で認証するのが普通になっていきます。そして割賦販売法改正によって2018年からはICチップ搭載が義務化されました。

 

ちなみに、このエンボス、Suica一体形カードではエンボスレスですし、多くのデビットカードでもエンボスレス。なのに、多くのカード会社は最近までかたくなにエンボスを入れ続けてきました。国内でインプリンタを使っているところはもはや皆無ですし、海外でもインプリンタなんてセキュリティ上怖くて使えたものではありません。なぜエンボスレスにしないのか、カード会社の人に会うたびに聞いているのですが、あまり考えていないのかもしれません。

 

さて、エンボスから磁気、そしてICチップ、さらにエンボスレスへと変わってきたクレカですが、2020年前後に転機が訪れます。一部のプリペイドカードでは番号が表面に記載されないものが出始めていたのですが*2、クレジットカードにおいても、三井住友カードが番号レスのカードを発行開始したのです。

 

2020年1月、国内のクレジットカードでは表面番号なしは初めて、ということでした。30年続いたパルテノン神殿からの切替であり、大きなデザイン上の進化でした。

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ただしこのときは、カード番号は裏面には記載されていました。しかし1年後の2021年2月には、裏面からも番号をなくしたカードに進化します。愛称もまさにナンバーレス(NL)となりました。

 

この間、実は番号レスのカードがラッシュとなりました。

  • 2020年3月 LINEクレカ(三井住友カード発行)
  • 2020年11月 セゾンカードDigital(セゾンカード、裏面にも番号なし)
  • 2020年12月 ダイナース

ただし海外では2019年から番号なしのカードが登場しています。Apple Cardがそうですね。

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シンプル、フラット、単色デザイン

券面にカード番号を記載しないようになったことは、カードデザインを大きく変えることにもつながります。言ってみれば、国際ブランド名(Visa、など)、ICチップ、タッチ決済対応マーク以外はだいたい自由にデザインできるようになったからです。

 

セゾンカードDigitalのデザインを見てみましょう。カードブランド名、Visaブランドマーク、ICチップ、所有者名。記載されているのはこれだけです。そして背景は白一色。シンプル、ミニマムなモダンなデザインです。

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このデザインの方向性は、ほかの番号レスカードもほぼ同様です。LINEクレカに至っては、カードブランド名もありません。

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プリペイドカードではさらにデザインは先鋭化しています。下記はバンドルカードですが、ICチップも所有者名も不要のために、極めてシンプルです。

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同じくプリペイドのKyashも極めてシンプルですね。単色のカードに、KyashとVisaのロゴが箔押しされているというデザインです。

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ちなみに、セゾンカードDigitalとKyashについてはICチップの位置に注目です。これまでICチップの位置はカードの左側というのが定位置でした。これは、ICカードリーダーにカードを差し込んで読み取る都合上、磁気カードの読み取り方向と統一させていたせいです。

 

ただし、今となっては磁気読み取りさえもかなりレアケース。そしてカード番号もないとなるとICチップの位置に縛られる必要もなくなりました。つまり、KayshやセゾンカードDigitalでは、カードの上下が逆転しているのです。これはカード裏面を見るとよく分かります。

 

通常のカードでは、磁気ストライプはカードの上部にあります。ところがKyashでは上下が逆転しており、下部にストライプがあるのです。このように上下反転させることでICチップの位置も変えているわけです。

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縦型デザインの潮流

上下左右がひっくり返っただけでもかなりカードの印象は変わるのですが、さらに最近増加しているのが縦型デザインです。いくつかの例を見てみましょう。

 

JAL Global WALLETでは縦型デザインとしながらも、なんとなく踏ん切りが付かないデザインですね。

 

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セゾンが3月3日に発行開始したライクミーバイセゾンカードは、かなりデザインに振った縦型カード。縦型カードでは、リーダーに差し込みやすくするために上部にICチップを持ってくるのが定番なのですが、敢えて下部に配置するあたりにデザインのこだわりを感じます。

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4月にリニューアルした新生アプラスカードは、上部にICチップ、国際ブランド名、カードブランド、単色、縦型……と昨今のデザイントレンドそのままのデザインですね。

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そして、この流れの中に、nendoデザインの新エポスカードもあるわけです。

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次の進歩はICチップとメタル

エンボスレスからナンバーレスへ、そして横型から縦型へと変わってきたクレジットカードのデザインですが、この先のトレンドはどこにあるでしょうか。注目しているのは、2つ。ICチップとカード素材です。

 

ICチップは製造元や容量の関係でさまざまな形状がありますが、海外のカードの一部では一回り小型のものが出回っています。下記はエポスカードとRebolutのカードを並べたものですが、Rebolutは小さいですね。ちなみにApple Cardも形状は違いますが、一回り小さなICチップを使っています。

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ICチップは、現時点で最大のデザイン制約要素なので、よりデザインに自由度をもたせようと思ったら、小さく存在感がないものが選択されるのではないでしょうか。

 

もう一つはカード素材です。現在のクレジットカードのほとんどはプラスチックですが、一部、高級カードにはメタル素材が使われ始めています。Apple Cardがチタンだというのは話題になりました。国内でも、ラグジュアリーカードはステンレスですし、アメックスもプラチナとセンチュリオンでは金属製です。

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メタルカードを手に持ったことがありますが、そのずっしり感と高級感は、プラスチックカードとは一線を画すものでした。プラスチックのように折れ曲がることはなく、重さも5グラム程度のプラスチックカードに対して、20グラムを超えます。堅い机などに落とすと、チリンと音がして、これは確かに高級だわという感じです。

 

メタルカードは高級感がある一方で、磁気ストライプの読み取りに失敗したり、ガソリンスタンドのような飲み込み型の機械の場合、誤作動を起こして吐き出されなくなる場合がまれにあると言われています。このあたりが最大のデメリットですね。

 

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ただし、世の流れは非接触です。アメックスプラチナはカード自体もタッチ決済に対応していますし、それぞれApple Payなどに登録が可能なので、読み取りの制約は次第に薄れてきています。

 

最大の課題はメタルならではのコストの高さですね。最安のメタルカードであるラグジュアリーカードのチタンでも、年会費は5万5000円。プラスチックカードは製造コストが1000〜2000円程度と言われています。プラスチックとエンボスだけなら安いのですが、ICチップにコストがかかり、非接触に対応するとなると内部にアンテナを張り巡らさなければなりません。メタルカードの製造コストは不明ですが、まぁ安くはありませんね。

 

ただし、こういったプロダクトは大量生産で安くなるものなので、どこかのカードがメタルカードのエントリーモデルを出してくるのも時間の問題でしょう。ラグジュアリーカードは2020年に「エントリーのメタルカードを出す」と言っていましたが、現在のところ、まだ発行していませんね。

クレジットカードデザイン

クレジットカードはある種、財産面の身分証明書的なところがあり、だからこそ、ゴールドカードやプラチナカードなど、デザインを変えることで、持ち主の可処分所得力をアピールする役割を果たしてきました。いわゆるステータスってやつです。

 

いまや、けっこうなお金持ちでも「カードは楽天カード」という時代です。ゴールドカードがかっこいいと思っている人なんて、40代以上のオジさんだけでしょう。ただし、ステータス観点ではなくプロダクトデザイン観点で見ると、小さな薄いカードにさまざまな工夫が凝らされていて、持つことがうれしくなるようなカードが存在しています。

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非接触、またはスマホ決済が普及した今、カード自体を誰かに見せる機会はものすごく減りました。そのため、ステータスを誇示する役割としてのクレジットカードは、もはや役割を終えようとしていますが、「自分が納得するデザインのものを持ちたい」という気持ちはまた別です。今後のカードデザインの進化が楽しみです。

 

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*1:アップルのマウスやPalm Vのデザインで知られます。ビジネスにおけるデザイン思考というのが流行りましたが、その源流ともいえる会社です。

*2:Kyashもカンムのバンドルカードも番号レスですね。