2020年から、資産の運用を5つのセグメントに分けて把握していきます。株式セグメント、債券セグメント、ヘッジセグメント、オルタナティブセグメント、リアルアセットです。続いて債券セグメントの運用方針について、記載しておこうと思います。
目的および基本的性格
インカムリターンが狙える債券への投資を通じて、キャッシュの獲得を目指します。株式と債券の値動きは連動しないという前提の元、資産全体での分散を通じてリスクの低減を狙います。
米国債への投資をベースに考えますが、随時信用リスク(クレジットリスク)を取り、上乗せのスプレッドを狙います。米国債10年ものが現在1.8%程度の利回りですので、そこに平均3.2%程度のスプレッドを乗せて、ポートフォリオ全体の目標リターンは5.4%とおきます。
投資対象
債券系ETFを中心とします。米国債、米国短期証券、ならびにハイイールド債、モーゲージ債、優先株式、BDC、新興国債券も対象とします。日本国債は現在の利回り状況では組み入れ対象としません。
また流動性の観点から、ソーシャルレンディングなども避けていきます。
運用方針
信用スプレッドがリターン源泉の中心なので、キャピタルゲインは期待しません。価格が上がりすぎた場合は、適宜売却し、経済的ショックなどでスプレッドが跳ね上がった(価格が下落した)場合は、買い増しを狙います。
本セグメント内では基本的に現金を保有しません。分配金は評価対象としますが、分配後はオルタナティブセグメントに属します。
運用体制
基本的に楽天証券を介して取引を行います。 取引口座は、特定口座を使いNISA口座での運用は想定しません。
投資リスク
スプレッドはクレジットリスクが高まると跳ね上がる傾向にあります。経済危機が発生すると、先進国国債以外の価格は大きく下落するリスクがあります。また、金利の上昇により倒産リスクも高まり、元本が実際に毀損する可能性があります。
とはいえ、そうした状況は一時的であり、1年程度で回復することがほとんどです。また倒産リスクを、スプレッドの上乗せ分で十分に吸収できる銘柄を選択するようにします。
投資資産
現在の債券セグメントの比率は、総資産の18%弱です。現在オルタナティブセグメントの比率が高いため、資産全体の安全装置としての役割は現金相当のオルタナティブが担う形になります。
債権セグメントの内訳は下記の通りです。政府保証のついた中長期モーゲージ債をメインとするBNDが30%弱を占めています。一方で、大きな信用スプレッドを持ち利回り9%に達するARCCも同規模です。また優先株式を中心としたPFFも20%弱入っています。
現在株価絶好調の米国において、ARCCはリスクをはらみながらも価格も上昇しています。一方で、PFFはいまいち不調という感じです。5年間のチャートを見ると、高い分配金を出しながらARCCの価格が17%も上昇しています。BNDとIEF、そしてモーゲージ債のMBBはほぼ似通った値動きです。そしてPFFは回復しつつありますが、不調ですね。
ARCC、PFF、BND、MBB、HYGを分析する
比率の大きいARCCとPFF、BNDについて過去のデータを調べてみます。まずこちらが配当金再投資なし、インフレを加味しない過去10年ほどのデータです。リーマンショックの際に、全く落ち込むことのなかったBNDの安定感がわかります。また、S&P500以上にARCC/PFFが下落しているのも分かります。一方で、ARCCもPFFもS&P500よりも早く回復しました。
では配当金再投資を行った場合はどうでしょうか。ARCCの抜群のパフォーマンスが光ります。S&P500を軽く上回るCAGR(年平均成長率)で14.1%という成績です。PFFやBNDも、配当金を入れるとS&P500と良い線で戦っていることが分かります。
それぞれの数値をチェックしましょう。ARCCのパフォーマンスは凄まじいものがありましたが、これはリスクプレミアムであることがよく分かります。なんと最大ドローダウンは70%超。σはS&P500の2倍以上となる32.4%です。一方で、地味に見えたBNDのSortino Ratio(価格下落時だけのリスクを見た、リスク・リターン比)は1.63に達しています。βもゼロです。
ちなみに、もう一つの債券系であるハイイールド(HYG)はというと、ほぼPFFに似たパフォーマンスになりました。モーゲージ債のMBBも同様です。
まとめると次のようになりそうです。
- ハイリスク・ハイリターンのインカム系 ARCC
- とにかく安定 BND
- 株式と逆相関で分散効果あり IEF(米10年債)
こう見てみると、PFFはポートフォリオのシンプル化という意味でも、あまり持っている意味はなさそうです。MBBは、BNDよりもさらに安定しており、シャープレシオは1を超え、βがわずかにマイナスという緩い米国債的な性格ですね。
ポートフォリオの組み直しは、PFFを売却し、IEFの比率を高めて株式との分散効果を高めるという方向性になります。
【2019年のインデックスセグメント運用方針】