2024年の(株式)取引が終わりました。年の瀬なので、この1年が(主に伝統的投資家にとって)どんな投資環境だったのかを振り返っておきます。結論からいうと、とにかくNVIDIAの年でした。
- 2024年の(株式)取引が終わりました。年の瀬なので、この1年が(主に伝統的投資家にとって)どんな投資環境だったのかを振り返っておきます。結論からいうと、とにかくNVIDIAの年でした。
- 主要指標の動向
- NVIDIAの年
- 2024年のリターンは良かったが良すぎたわけでもない
- 140円と162円を行ったり来たりの為替
- 日米選挙の影響はまだこれからか
- 何が当たって何が外れたか
主要指標の動向
まずは年間のパフォーマンスを振り返ります。大方の予想に反して、2024年のパフォーマンスは素晴らしいものでした。強さでいうと、米ハイテク>米国株>新興国>北米除く先進国(含む日本)といった感じ。全世界株式(ACWI)は、米国株にちょっと劣後するという感じでした。
もう少し、どんな株が調子がよかったのかというと、米国でグロースの大型株です。下記のモーニングスターのデータを見ると、いかに大型株が強く、いかにグロースが強かったのかがよく分かります。
NVIDIAの年
では米国でグロースの大型株が全部よく上がったのかというとそんなことはありません。下記は、NVIDIA/M7/残りのS&P500のパフォーマンスを比較したものです。S&P500は27.35%のリターンでしたが、M7も残りのS&P500もそれを下回ります。
- S&P500 27.35%
- M7(NVIDIA除く) 25.5%
- S&P500(M7除く)21.2%
要するに、2024年はNVIDIAの年だった。そういうことです。下記は、M7各社とS&P500の推移。太い紫がS&P500です。これを見ると、MicrosoftもAppleもGoogleも実はS&P500を下回っていることが分かります。Amazon、Meta、TeslaはS&P500を上回りましたが、何より全体を引き上げたのはNVIDIAです。年初来+185%。
全世界トップクラスの時価総額を誇る銘柄がこれだけ伸びたのですから、そりゃあ全体を引き上げます。それが2024年だったということです。
2024年のリターンは良かったが良すぎたわけでもない
この米国株(S&P500)のパフォーマンスはドル建てで27.35%。2023年は26.06%だったので好調だった昨年を上回った形です。とはいえ、過去と比較してみると良すぎるというほどでもありません。これが平均だと思うのは危険過ぎますが、2000年代に入ってからの米国株の好調さはすごいものがあります。
ちなみに過去150年の中で、2024年の27.4%というパフォーマンスがどのあたりに位置するかというと、こちら。S&P500は多くの場合でプラス(下記の寒色部分)ですが、その中でもけっこういいパフォーマンスだったということです。
※Visualizing 150 Years of S&P 500 Returnsより。画像を加工
140円と162円を行ったり来たりの為替
米国株が非常に好調で、株式投資家にとって恩恵だったわけですが、実は日本人投資家にとってのプラスはもう一つあります。為替です。下記は2024年のパフォーマンス(再掲)ですが、ドル建てと円建てでパフォーマンスが大きく違うことが分かります。
そう、年初140円台だった為替は乱高下を続けながらも、年末には157円まで円安が進み、これが円建てのパフォーマンスを押し上げたのです。
そして現在のところ、この為替の動きは日米金利差のとおりに(まだ)動いているようです。下記は日米金利差(10年国債)とドル円をプロットしたチャートですが、概ねそろっています。
7月を転換点として円安から急激に円高に振れましたが、これは日銀が15年7カ月ぶりに利上げを決めたことがきっかけです。
www.kuzyofire.comただ米FOMCで9月に利下げが決まると、今度は米長期金利が上昇し、結果日米金利差は拡大。それに連動する形で再び円安が進んだのでした。
日米選挙の影響はまだこれからか
もう一つ、2024年は選挙の年でもありました。日本では9月に石破首相が選任されました。正直、党内基盤が弱いのか、大きなインパクトはなく、内外から批判ばかりが聞こえてくる状況です。ただ、何かを動かす力もない感じなので、船は安定航行という感じ。
一方で11月にはトランプ氏の再選が決まりました。こちらは大きな政策転換が見込まれ、早くも各所に影響が出始めています。エコノミストの分析では、インフレ的政策が多いことから短期の株高、そして金利上昇を見込むものが多かったですが、どうでしょうか。
すでに数字に顕われているのは仮想通貨周りで、大統領選終了後の11月から一段高。Bitcoinは10万ドルを超えました。ちなみにドル建てだと年初来+108%ですが、円安も重なっているため円建てだと+132%。NVIDIAほどではありませんが、仮想通貨でも大型銘柄が強かった年ということになります。
何が当たって何が外れたか
さて2025年がどんな年になるのかは、別記事に譲りますが、当初想定した経済予想との比較もしておきましょう。当初の予想はこうでした。
- インフレは収束
- 米FRBは夏頃に利下げ
- 長期金利は継続して下落
- 強い経済を背景に米株式は継続上昇(楽観シナリオ)
- 日銀は春にマイナス金利解除
- 年初から円高傾向が継続
- 春の半減期に向けてビットコインは最高値を伺う
- 金は引き続き上昇
まずインフレは2-3%で安定していてだいたい収束しました。利下げは9月になりましたが、まぁ予想通り。ただ長期金利下落予想は大きく外し、逆に9月以降、金利は上昇してしまいました。
米株の継続上昇は予想通り。日銀のマイナス金利解除も予想通りで、さらに夏には利上げまでおこなったわけですが、予想した円高傾向は続かず、米長期金利の上昇とともに為替も円安に向かってしまいました。
ビットコインは最高値をうかがうどころか、トランプ氏の再選とともに一気に10万ドルへ。さらなる楽観ムードさえあり、過熱感も感じるくらいです。金に関しても年初来で26%上昇していてS&P500並の上がり方でした。こちらも予想通りです。
そんなわけで、当初の予想を大きく外したところは、夏から長期金利が上昇してそれに伴い円安が進んだところ。これによって債券ポジションはダメージでしたが、円安によってドルポジションの円建て評価額が伸びたので、まぁよしとしましょう。