5月は引き続き、株価が戻ってきています。先日の記事でも書いたように、実体経済はまだまだ傷んでいますが、各国政府はなりふり構わず金融緩和に動いており、もはやバブル状態です。では資産はどう変化したでしょうか?
- 全体は+3.4% 下げをほぼ取り返す
- セグメント別リターン
- 株式セグメント +5.5%
- 債券セグメント +5.8%
- リアルアセット +6%
- ヘッジセグメント +5%
- オルタナティブ(現金)は−0.8%
- インカムの状況
- 今後の方針
全体は+3.4% 下げをほぼ取り返す
4月からの変化は、全体で+3.4%でした。年初来で見ても−2.6%まで戻りました。S&P500は年初来では−6.55%、TOPIXも−7.88%。それに比較すると、少々マイルドなポートフォリオです。
総資産の推移は下記の通りです。コロナの爪痕からまだ完全には回復していません。正直、5月の株価上昇は少々想定外で、てっきり2番底が来るのではないかと思っていました。ただ、ここまで回復すると、コロナ第二波が来たとしても、下落は限定的になるのではないかと想定しています。
セグメント別リターン
5セグメントそれぞれを見ていきましょう。5月は全セグメントで5%前後の上昇です。一方、年初来ではまだ濃淡があります。ちなみに、セグメントリターンでは、売買と入出金を加味してリターンを計算し直しています。やっとシステム化できて、オートマティックに計算できるようになってきましたが、ややこしいことこの上ありません。
年初来リターンでいい仕事をしてくれているのは、ヘッジセグメントです。また、リアルアセットは大きく凹んでいますが、これは4月から、評価法を簿価からDCFに切り替えたせいです。これを除くと最も傷んでいるのが債券で、これはARCCが戻りきっていないためになります。
アセットアロケーションは次の通りです。ほぼ誤差レベルでしか変化がありません。
株式セグメント +5.5%
株式は先程のS&P500を見ても分かるようにかなり戻しました。年初来でも-2.9%で、S&P500やTOPIXに勝っています。これを牽引したのは、グロース株です。Google、Facebook、Amazonがグイグイ戻し、6.54%のリターンとなりました。一方で、足を引っ張ったのは途上国です。2.05%しか戻しておらず、出遅れています。また、この1ヶ月では日本株式が最も上昇しました。
5月は、楽天カードを使った投信自動買い付けの「楽天バンガード全世界株式」と、新たに始めたtsumiki証券での「ひふみ投信」の自動買付があるだけです。
株式セグメントの中身の確認です。ACWIなどの全世界時価総額加重平均ポートフォリオに比べると、GAFAが入っているために米国比率が高く、また途上国の比率も高くなっています。逆に、日本株式はアンダーウエイトです。
ポートフォリオの中身は次のようになっています。ふとした思いつきで買った生活必需品セクター(XLP)は、一時はどうかと思っていたのですが、まぁS&P500よりも多少は戻りが早かった感じですね。
株式個別を見てみます。銘柄数はそこそこあるのですが、特に大きな重複はありません。方向性でいうと、GAFAに張り、新興国に張り、日本を悲観的に見ているポートフォリオです。
リターンを見ると、GAFAの強さが分かります。そして、インデックスの出遅れ、特に新興国の出遅れが顕著です。
年初からのS&P500とAmazon、Google、Facebookです。AmazonとFacebookは過去最高値も更新してしまいました。Googleはあと一歩といったところです。恐ろしささえ感じる強さです。
債券セグメント +5.8%
債券は中期国債(IEF)やモーゲージ債(MBB)、そして総合債券(BND)の一部を売却し、シンプルなポートフォリオになりました。ここで足を引っ張ったのはPFFです。リスクの割にリターンも小さく、これは入れ替えだな……と思っていたのですが、1%ほどの含み損のために躊躇して待っていたら、コロナショックを食らったのでした。ARCCがかなり戻しているのに対し、こちらも出遅れです。
株式と逆相関が基本のベーシックな債券BNDはプラスで推移ですが、信用リスクをとってリターンが上乗せされているハイイールド系の債券は、大きなマイナスが続いています。株式は戻ったのに、まだ債券は戻っていません。
株式は逆張り好きな個人投資家中心に買い上げていて、一方機関投資家中心の債券は、まだ回復を織り込んでいない。そんなふうにも見えますが、どうでしょうか。
また債券としては、ちょっと好奇心で、SBIソーシャルレンディングにいくつか申し込みをしてみました。
リアルアセット +6%
リアルアセットセグメントは6%の上昇です。これは一重に、木更津発電所の2ヶ月目となる4月の発電状況が良く、それを将来に外挿してDCFを計算し直したためになります。
下記の通り、3月こそ当初のシミュレーションを下回りましたが、4月は天候が良かったのか、わずかですが計画を上回りました。DCFなので、時が経つにつれて割り引く額が減っていくので、割引率分だけのリターンを得ることができますが、これについては月次では計算していません。年次での対応となります。また、5月には決算の結果として消費税還付がありますので、アセットとしてはその分増加することになるでしょう。DCFには還付を織り込んでいませんので。
ヘッジセグメント +5%
ヘッジセグメントは4月に続き上昇です。変わらず金(ゴールド)はジリジリと上がりました。5月に半減期を迎えたBitcoinも、日本円で100万円前後で推移しています。また、大きく上昇したのはEthereumでした。
ヘッジセグメントのポートフォリオは、金6:クリプト4の割合です。
金は年初から12%も上昇です。今後、インフレが世界を襲うだろうと想定しており、金はストロングホールドです。
半減期を迎えてどう変わるかと思ったBitcoinも、月単位ではそこそこの上昇です。ただし、19年7月のレベルには、いずれも戻っていません。特にLiteCoinは厳しいですね。
オルタナティブ(現金)は−0.8%
現金と短期の安定した売買を行うオルタナティブセグメントはまたしても-0.8%。これはやはり、相応の規模で実行している優待クロスの影響ですね。クロスコストはそのまま影響しますが、受け取った優待は消費してしまうので、アセットに換算していません。現時点では、現金の約5割を優待クロスのポジションに当てています。FXスワップアーブポジションもクローズ中ですし、LINEワンコイン投資もクローズしたので、そのほかにトライしているものがありません。
6月の大物をほぼクロスしてしまっていますが、それでも現金がまだ半分残っています。やはりFXスワップアーブがないと、資金を有効活用できない状況ですね。
通貨の状況は、ドル建て資産がちょうど50%となりました。資産運用を始めた初期にドル転したものの、もう5年以上、ドルの売買はしていません。それだけ米国株が上昇したということでしょう。このくらいのドル比率は心地良いので、売買せずにいきたいと思っています。
インカムの状況
株式および債券からのインカムの状況です。5月は少なくて、PFFおよびBNDからの毎月の配当だけでした。年初から受け取った配当の累計は、総資産の0.39%のままです。
今後の方針
さて今後の方針です。実は、2番底を狙って、ずっとVTの指値を入れておいたのですが、残念なことにかなり上がってしまいました。この後、株式を買い増すかといえば、悩むところです。特に買いたいものといえば、VTくらいだからです。
一つ、検討しているのが長期国債の購入です。ポートフォリオを組むにあたって、株式と逆相関する債券、特に国債の強さは今回のコロナショックで思い知りました。そして少ない資金で逆相関の効果を最大限に活かすには、長期国債が最適です。TLTなどですね。もしかしたら、さらにそれにレバレッジをかけたTMFも検討です。
一方で、相場観としては、これから世界はインフレに向かうと読んでいます。実体経済は徐々に戻るでしょうが、いったん始めた金融緩和はそうそうブレーキを踏めません。となると、通貨の価値は落ち、長期利回りは上昇します。インフレです。これを踏まえると、債券を買うのは愚策だともいえます。また、3割におよぶ現金も、多いようにも感じます。
インフレ対策という面では、最適なのは実物資産と借り入れです。実物資産はインフレとともに値上がりするでしょうし、借り入れはインフレで返済額が小さくなります。これに最適なのは、やはり不動産ですね。しかもREITではなく、実物です。今回のコロナショックで、もっと不動産が下がるかと思ったら、まだ暴落には程遠い状況です。しかし、自分が借り入れできるタイミングを考えると、2020年中には不動産を購入したいと思っています。
なお、各セグメントは下記の目論見書に従って運用します。
また計算上の注意点は下記です。
- このポートフォリオには、生活防衛資金、401k、各種貯蓄性保険、年金、家族の資産/NISA口座は入れていません
- 株主優待は現金化したもの以外、資産計算していません。取得コスト分だけ資産にマイナスの影響が出ています(ここは今後検討です)
- 含み益も資産として計算されているので、ここから税払いが発生する場合があります
- 法人と個人の資産を合算しています
【前回4月のポートフォリオ】