FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記

九条です。資産からの不労所得で経済的独立を手に入れ、自由な生き方を実現するセミリタイア、FIREを実現しました。米国株、優待クロス、クリプト、太陽光、オプションなどなどを行うインデックス投資家で、リバタリアン。ロジックとエビデンスを大事に、確率と不確実性を愛しています。

収益不動産の資産価値を見積もる 積算、直接還元、DCFなど

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収益不動産を4月に入手しました。これまで、総資産の推移を毎月グラフにして評価してきましたが、ここで問題になるのが、不動産の資産価値をどう見積もるか? です。一般的な手法も含めて検討してみました。

よくある表現

不動産投資家の間でよくある表現が、「資産額○○億円」「借り入れ総額○○億円」といったものです。ここでいう「資産額」とは、だいたいその不動産の取得価格か、売却した場合に想定される売却価格のことを指します。

 

借り入れ総額というのは、要するに銀行から借りている金額のことです。不動産投資では借り入れを行うのが普通で、借り入れが大きいということは、それだけ多額の不動産を所有していることを意味します。

 

いずれも、運営する不動産の規模が大きいということは伝わりますが、これを株式などの金融資産と並べて評価することはできません。「1億円の不動産」を持っている人と、「1億円の株」を持っている人は、そのままでは比較できないのです。

最も簡単な簿価

最初に、最も簡単な方法です。それは、取得価格から借入金額を引いた「純資産額」を使うというもの。1億円の不動産でも、借り入れが8000万円あれば、純資産額は2000万円だという計算になります。

 

これはまず計算が簡単ですね。さらに、ローンの返済が進んで借り入れ額が減れば、純資産額も増えていくため、儲け具合をシンプルに表すことができます。

 

ただし、いくつかの課題があります。一つは不動産から生まれる収益、キャッシュフローの評価が含まれないということです。同じ1億円の不動産でも、毎月100万円の家賃収入を生む物件と、30万円しか生まない物件では、価値は違ってしかるべきです。

 

二つ目は、売却時に同価格で売れることを前提とした評価だということです。不動産は土地と建物に分かれますが、土地についてはともかく、建物は年数が経つほど確実に評価が減ります。木造なら22年、RCなら40年。これは法定耐用年数の話ですが、実際のところ、この年数を超えると建物価値を評価してくれない銀行も多いため、融資が引けなくなります。融資が引けなれば、買い手が限定されるため、価格もそれだけ安くなってしまうというわけです。

積算価格

簿価の2つ目の課題を反映した方法の1つが、「積算価格」でしょう。これは、土地の価格に、築年数を評価した建物価格を足したものになります。例えば、木造の建物で新築時に4400万円だったとします。しかし法定耐用年数は22年なので、築10年が経過すれば、2000万円の価値として考えるというものです。

 

これは、銀行が不動産を評価する場合にメインで使われる方法として知られています。土地であれば路線価と面積を掛けて、建物であれば建築単価に面積を掛けて合計するといった具合です。そこに築年数や土地の形状など、いくつかの要素で修正します。

 

評価額が低めに出ることもあり、保守的に資産を評価するならば、この方法は便利かもしれません。しかし、簿価で挙げた課題1の収益が考慮されていないという点は変わりません。

直接還元法

今度は収益に焦点を当てて計算するのが「直接還元法」です。これは1年間の純収益を、還元利回りで割って不動産価格を算出する方法です。純収益が500万円の不動産があったとして、還元利回りが8%なら、6250万円になるということです。

 

しかし、さて「還元利回り」とは何でしょうか? これは業界用語で「キャップレート」と呼ばれます。これは、ほぼ期待利回りと同じ意味合いで、ある不動産の価格を、そこから得られる実質の収益で割ったものを指します。例えば、1億円の物件から年間500万円の収益が得られるなら、キャップレートは5%となります。

 

不動産の期待利回りは、地域や築年、用途などによって異なりますが、賃貸住宅ならば5〜9%程度が目安といわれています。つまり、近い地域の類似の物件のキャップレートを調べることで、期待される利回りが推定できるわけです。

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※地図から不動産物件のキャップレートを確認できる「CaprateMap」(無料)

 

さて、近くの類似物件のキャップレートが5%だったらどうなるでしょうか。これが想定される期待利回りということになります。次に、自分の物件の純収益(NOI)を計算します。これは不動産収入から管理費や空室率、修繕費などを控除した残りのことです。そして、純収益をキャップレートで割ってあげれば、直接還元法の不動産価値のできあがりとなります。

DCF法

収益にフォーカスする手法は直接還元法に限りません。太陽光発電所の評価にも使っているDCFがそうです。これは、将来収益を試算して、割引率(ディスカウントレート)で割り引くことで現在価値に引き直して合計するという手法です。

 

実際のことろ、割引率とキャップレートが同じ値で、将来の収益見通しが一定ならば、直接還元法でもDCFでも評価額は同じになります。不動産の場合、株のように収益が上昇するようなものではなく、太陽光のように20年後に収益がゼロになってしまうものでもないので、ほかの要素が同じならば、どちらを使ってもいいのかもしれません。

 

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ただし、大規模な修繕を行ったり、家賃が少しずつ減少していくような想定を立てる場合、直接還元法よりもDCFのほうが精緻な評価が行えるでしょう。また、途中で売却を想定している場合は、最終年に売却益を盛り込んで計算することになります。これは直接還元法では対応が難しく、各年の純収益がバラバラでも計算できるDCF法ならではの評価になるでしょう。

キャップレートと割引率の違い

さて、直接還元法で使うキャップレートと、DCFで使う割引率ですが、意外に根本の意味合いの違いもありそうです。これは株式に見立てて考えると分かりやすいかもしれません。キャップレートを配当利回りと考えると、2%の配当利回りで年10万円万円もらえる株ならば、株価の適正値は500万円。こんな風に考えるのが直接還元法となるわけです。

 

もちろんここでは株価の上昇によるキャピタルゲインは考えません。不動産価値の評価において、土地の値上がり益を考えないのと同じです。そういう意味では、株の配当利回りではなく、国債の利率が2%だというのに近いかもしれません。

 

このように考えたとき、キャップレートは景気や金利の動向によってどう変化するでしょうか。景気が良く、株価が上昇しているときは配当利回りは低くなります。また金利が低ければ、同じく債券価格は上昇し、つまり債券利回りも低くなります。不動産のキャップレートも、このようにインカムゲインリターンを表すものなので、景気が良かったり、金利が低ければ下がることが想像できます。逆に不景気だったり金利が高くなれば、不動産価格も下がり、キャップレートは上がることになります。

 

一方で、割引率は、投資家がその投資に対して期待するリターンです。こちらは、景気のよいときには高いリターンを要求し、不景気のときは低くなってもそれを甘受せざるを得ません。つまり、この2つは実は異なるものを意味していて、状況によっては正反対になるということです。

 

これを違った視点で見てみましょう。キャップレートが意味するのは配当や家賃収入などのインカムゲインの利回りです。ところが、割引率の場合は、キャピタルゲインも含めた総合的な期待利回りを意味しています。景気の良し悪し、金利の状況によって、インカムゲインに求める利回りと、キャピタルゲインに求める利回りは逆転します。

 

債券で考えると、もっと分かりやすいかもしれません。金利が下落すれば、インカムゲインである債券利回りはどんどん低下します。一方で、債券価格は上昇することからキャピタルゲインは上昇します。

 

さらに別の観点で見ると、単純に不動産同士で価値を比較するならキャップレートでもいいのかもしれません。ところが、株式など別のアセットと比較する場合は、他方がキャピタルゲインに対する期待リターンも盛り込まれているわけですから、割引率を使って考えないと、フェアな比較にならないともいえます。

で、不動産評価はどうする?

 

というわけで、もろもろ考えた結果、ここは太陽光発電所などと同様に、DCF法で計算することにしました。さて、今回は借り入れを行っています。このとき、DCFではどうするでしょうか。

 

一般には、NOIからは金利負担を引かないで計算することが普通です。これは、物件そのものの価値を評価するためにDCFを使うからですね。借り入れ条件などは買い主によって異なるので、金利負担を入れてしまうと正しい物件評価にならないからです。

 

ただし、今回僕が見たいのは物件評価額ではありません。借り入れなども含めた、投資先としてのこの不動産の評価です。経営力込みの評価とでもいいましょうか。そのため、NOIではなく、今回は税引き前キャッシュフロー(CF)を使って計算します。

 

前提とした数値は下記の通りです。

  • 賃料は10年で5%低下
  • 売却時の価格は毎年1%低下
  • 割引率は、今回の投資で期待する利回りである6%

この条件で、将来CFを計算し、DCF法で割り引いて現在価値(NPV)を求めます。このとき、売却タイミングによって当然現在価値は変化します。試算したところ、10年目での売却を100とした場合、今回は78から110の幅に入ることが分かりました。そこまで大きなばらつきというほどではありませんね。

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そのため、今回は10年での売却を前提としてNPVを出し、それを投資対象としての物件価値評価額としたいと思います。いまのところ、初期投資額および初期費用合計に対して、10年目売却時で評価額は103%。意図したわけではありませんが、投下資本にほぼ近い評価額になっています。割引率6%なので、まぁまぁ悪くない数字かな?と思っています。

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なお、CFの算出には、下記名著に付属する「玉川式不動産収益試算Excelシート Rev.2020.08.10」を利用しました。

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  • 作者:玉川 陽介
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不動産投資の火災保険は結局、薄く広くにした

収益不動産の引き渡しが近づいてきました。物件を所有するにあたり、決めなくてはいけないのが火災保険です。前回は、一冊本を読んで「やっぱりよく分からなかった」感じだったのですが、今回方針を決めて決定しました。

東京海上日動の住まいの保険

今回選択したのは東京海上日動の「住まいの保険」です。残念ながら、いろいろな商品を比較検討したというわけではなく、時間がなかったこともあり、紹介いたただいた保険代理店が取り扱っていたのがこれだけ、という消極的な理由です。

 

ただし、居住者向けの火災保険のところでも書いたように、「偶然な破損事故等」へ対応できる保険になります。

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考慮しなくてはいけないパラメータは3つ

代理店とやりとりして分かったのは、火災保険を決めるに当たっては、大きく分けて3つの点を決めなくてはいけないということです。このそれぞれが、金額と補償に直接影響します。

 

1つが「評価額」。これは建物をいくらで評価するか?というもので、保険会社が決定します。もし火災などで全部燃えてしまっても、この評価額が保険金の上限になります。

 

2つ目は「保証内容」と「特約」。基本的に、火災、風災、水災は付いているのが普通ですし、地震保険も入れるのが基本です。しかし、盗難水濡れや破損などはオプションなので、決める必要があります。さらに賃貸住宅オーナー向けの特約もあります。

 

3つ目は「期間」です。契約期間として5年と10年があり、それぞれ金額が違うだけでなく、支払い方法や解約時の返戻金も異なります。

評価額は抑えた

まず1つ目の評価額です。これは東京海上日動の場合、「新築費単価法」という方法です。建物の延べ床面面積に対し、平米あたりの単価をかけて評価額を算出しています。そして、それに対して、プラスマイナス30%の範囲で、加入者が自由に設定できます。

 

100平米の建物なら、例えば単価が30万円/m2で3000万円。これに対して、3割変動なので、2100万〜3900万円の間で設定できるわけです。そして保険料は、ほぼこの評価額に比例します。正確にいうと、保険料は「建物」+「地震」+「特約」で構成されていて、このうち建物と地震は評価額にほぼ連動するということです。特約は、あまり評価額に影響を受けません

 

ちなみに僕の場合、場所的にも構造的にも建物と地震のリスクが高く、ここの変動が合計保険料に大きく影響します。地震のリスクが少ない地域や、火災になりにくいRCなどだとまた違うんでしょうね。

 

さて、こちらに関しては、最も評価額を抑えることにしました。土地の値段は地域によって大きく異なりますが、建物の工事費はそれほど違わないはず。そして、国土交通省の建築着工統計調査報告の「居住専用建築物」のデータを見ると、次のようになっています。

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ここから再建築時に必要になる費用がざっくり計算できます。これを計算してみると、「新築費単価法」で計算したもののミニマムにしても、まだ20%以上の余裕があるんですね。つまり、全壊してしまっても、再建築に必要な費用は保険でまかなえるだろうということです。

 

もちろんリスクもあります。例えば、ガレキを処分するには費用がかかります。また、地震保険の支払い金額は、この評価額の半分が上限です。つまり、地震で全壊に近い状態になったら、足りなくなるリスクが高いということです。このあたりは選択ですね。

 

ちなみにどのくらい保険料が変わるかというと、計算値+30%のフルフルマックスの場合に比べて、計算値ー30%のミニマムだと45%保険料が安くなります。だいたい2倍変わるということです。

 

想定する家賃収入に対して、フルフルマックスだとなんと2.7%も保険料で持って行かれることになります。これがミニマムだと1.47%まで下がる計算です。リスクは取っても、この違いはけっこう大きいですね。

特約はフルフル

2つ目の特約については、特に賃貸住宅オーナー向けの特約をフルで付けました。火災保険の活用法として、突発的な事故が起こったときの対応がありますが、これらは保険金額があまり高くない割に、頻度はそこそこあると聞いたからです。

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一応、選択肢としては、火災、風災、水災+地震保険がついた基本ミニマムセットと、それに「盗難、水濡れ」を追加したもの、さらに「突発破損」も加えたフルセットの3種類がありました。

 

特約部分についてはどれでも変わらず、基本的に建物と地震の部分に差が出ます。具体的には、+盗難水濡れで4%アップ、+突発破損でさらに4.1%アップでした。

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期間は10年一括

保険料の支払い方法も選択の余地があります。大きく分けて「月払」「年払」「一括払」があり、さらに期間は5年間と10年間の2つがあります。

 

まず期間については、5年よりも10年の方が20%ほど安くなる見積もりでした。さらに、火災保険、地震保険ともに今後の値上がりが想定されます。保険料は地域によって異なりますが、全体として値上がり傾向にあります。

 

2018年5月には平均で5.5%値上がりました。

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さらに2021年1月には平均で4.9%の値上げです。

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風水害などの自然災害被害が昨今増加していて、それが保険料に反映されているわけです。こうした値上がりが想定される場合、長期の保険を組むことで、現時点の保険料のまま保障を受けることができます。

 

さらに、2022年度にも契約期間が現行の10年から5年に短縮される見通しです。これは、保険料の見直しを素早く反映することが狙いです。こんな中ならば、長期で契約しておくにこしたことはありません。ただし、地震保険だけは5年が契約上限なので、5年たったら値上がり/値下がり分を再度決済する流れになります。

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ちなみに、10年の契約の場合、たとえ途中で解約しても、残年分は月割で返金されます。仮に5年で物件を売却することになれば、半額が戻ってくるわけです。

 

ただし、すべてにおいて長期のほうがいいというわけではありません。10年契約の場合、年払いなどが選択できず、初期一括払いしか選べないからです。つまり、期間の利益を失うことになります。ここは考え方次第ですね。

 

さらに、東京海上日動の場合、支払いにクレジットカードが利用できます。これはつまり、ポイント還元の対象になるということです。

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ぼくの場合、最初「3%還元のLINEクレカで払ってしまおうか?」と思ったのですが、よくよく考えると、LINEクレカは保険料は一回5万円までがポイント還元の上限でした。というわけで、しばらく眠っていた2%還元ほぼ制約なしのリクルートカードプラスの出番です。こちらで決済し、2%還元を受けつつ、10年分保険料を支払いました。

意外にコスト負担重い火災保険

不動産投資のコストとして、退去リスクと客付けコストはよくいわれます。また、家賃の5%程度の管理料が管理会社に必要になることも一般的ですね。

 

でも、保険料もけっこうなコストです。これはRCよりも木造のほうが高くなる模様。評価額マックスだと、実に賃料の2.7%もかかるわけです。今回評価額を抑えて1.5%としましたが、それでも小さくはありませんね。

 

少し調べただけですが、意外と奥の深いのが保険でした。

 

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2021年3月の太陽光発電所パフォーマンス 4基まとめ

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毎月恒例の太陽光発電所4基のパフォーマンス。3月の実績が出そろいました。そこそこ晴れた3月の状況はどうだったでしょうか?

 月間発電状況

3月の発電状況は次のグラフのようになりました。3万6500kWhを超え夏に向けて順調に発電量が増加中です。

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ちなみに、唯一エコメガネを取り付けている白子発電所では月次の発電量が確認できます。合計で9211kWh。こうして見ると、1日の最大発電量が440kWhあたりまで伸びている一方で、意外と雨の日も多かったことが分かります。

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よく晴れた日の時間帯別発電推移を見ると、朝5時から発電を開始し、17時まで稼働していることが分かります。ピークは50kWhと低圧の上限ですね。ちなみに白子発電所は87.42kWのパネルなので、そこまでの過積載でもありません。

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では発電量の予実はどうでしょうか。実はいつも下振れしている木更津が100%超え。逆に、そこそこ優等生の筑西が94%と不思議な結果となりました。ちなみに木更津は、昨年3月の発電量を約1割上回っています。

  • 木更津 103%
  • 筑西 94%
  • いすみ 100%
  • 白子 106%

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売電とCFの状況

続いて売電額からローン返済額を引いた、粗CFです。ここでは略してCFと呼びます。いい感じにすべての発電所のCFがプラスになりました。最も優秀だったのは、パネル出力が80kW台と一番小さい白子です。この半年間ずっと赤字だった木更津がプラスになったのもうれしいですね*1

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諸経費を除く前のCFですが、月間で約24万円が入ってくることになります。やっと副収入と呼べる額になってきた感じです。

 

ざっと諸経費を見ると、4基合計の月間で次のような感じでしょうか。パワコン電気代を早くなんとかしたいのと、やっぱり税金高い!という感じ。これに、法人の維持コストが追加になります。3割くらいはコストで持って行かれる感じですね。

発電所評価額

今回のデータを元にした、各発電所の時価評価額です。割引率6%で将来CFを割り引いて、現在価値を算出します。いわゆるDCFです。

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3月からは、いすみと白子が2ヶ月経過したので、これまでの予実結果を外挿して将来発電量を計算し、評価しています。その結果、DCF評価額は前月から15.8%のアップとなりました。

 

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 4つの発電所のDCF評価額の比率は次のようになっています。木更津が少々評価が低いのですが、まぁバランスがよいポートフォリオです。

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最新のデータを元にした各発電所のIRRは次の通り。木更津と筑西は計画値を下回っていますが、いすみと白子は計画を上回る予測値になっています。

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3月末に、5号基となる君津発電所がやっと連系しました。4月、または5月のパフォーマンスまとめでは、こちらの状況も記載できるかもしれません。

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現在は6号基となる石岡発電所の準備が着々と進んでいます。もう少しかな? 各太陽光発電所のスペックは次のとおりです。

FIT単価はいずれも18円。システムのスペックは次のようになっています。

  • 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • 筑西発電所  JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
  • 白子発電所  JINKO(87.42kW)/オムロン

2月の太陽光発電パフォーマンスはこちら。

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*1:木更津は発電量もさることながら、返済期間が10年で、元金均等となっており、初期がかなり厳しい条件になっています。

収益不動産の金消契約を済ませてきた

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収益不動産の取得が間近に迫ってきました。前回面談に行った金融機関から、無事審査が通ったという連絡をもらったので、今度は金消契約を結んできました。

不動産の取得までの流れ

収益不動産を取得するまでの流れを簡単にまとめておきます。

  1. 物件を決定する
  2. 物件の売買契約を結ぶ(融資特約付き)
  3. 金融機関の融資審査を完了させる
  4. 金融機関と金消契約を結ぶ
  5. 代金を振り込んで物件の引き渡しを受ける

物件を決めて売買契約を結ぶところまではすでに完了しています。この契約には通常「融資特約」というものが付いていて、例えば「金利1.5%、期間20年、○○銀行」といったその時点で見込める融資が実行できなかった場合、白紙撤回できるというものです。

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その後、金融機関の審査があります。ぼくの場合、不動産屋からの紹介で2つの金融機関に同条件で審査を依頼しました。担当レベルではOKだったのですが、そのあとの本部審査で希望条件が通らず、敢えなく撤退。別の金融機関を探すことになりました。

 

当初は3月末に引き渡しができる予定でスケジュールを組んでいたのですが、金融機関を探すところからやり直しになったので、期日も1ヶ月ほど遅れることに。

 

その後、当初の条件とは違ったのですが、2.5%30年という条件で金融機関が見つかりました。頭金は価格の20%です。その担当者に面談に行って、ヒアリングと必要な書類を渡してきたのが3月末です。 

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1週間ほどで本部審査が完了する予定でしたが、審査部でコロナが発生したとかでさらに一週間ほど遅れ、やっと審査が通ったという連絡をもらいました。次に行うのが、金消契約です。

金消契約

金消契約とは、金銭消費貸借契約の略で、借りたお金を消費してモノを買いますよ、という契約です。借入金額や利率、返済回数などが記載された契約書に署名捺印するものになります。

 

併せて、購入した物件に対する抵当権を設定するので、その契約も同時に結びます。抵当権設定は司法書士が行うので、金消契約では司法書士も同席。同時に、登記も依頼し、委任状を渡すという流れです。

 

わざわざ対面でやる必要があるのか? とも思うのですが、司法書士は登記手続きにあたり対面で本人確認を求めたりするので、まぁ仕方ありません。時間は1時間ほど。何に時間がかかったかというと、山のような契約書と書類に記入して捺印する時間です。

 

会社設立時に、下記のような住所と代表者名が入ったゴム印を作っておくと楽なのですが、別に頻繁に請求書とかあるわけでもなし……と思って作っていなかったため、ひたすら写経する1時間になりました。

預金口座 

融資を受ける場合、その金融機関に口座を作るのが普通です。そして、決済日に、その口座から売主に代金を振り込みます。そのため、同時に普通預金口座も作成です。

 

法人設立時に銀行口座を作ろうとしたときには、各所で審査で跳ねられて作れないという思いをしましたが、さすがに今回は融資してくれるだけあって、即座に口座を開けました。太陽光から始めず、銀行融資から始めれば、法人口座を作るのも簡単だったかな? なんてちょっと思ったり。

 

昨今はよほどの金融機関でもネットバンキング対応です。この金融機関では法人のネットバンキングでも月額料金などはかかりません。ただし、初回にトークン代として3300円を請求されました。

 

法人口座では通常キャッシュカードを発行されないので、口座のお金を何かに使おうと思ったら必ず振り込みをすることになります。そして、ネットバンキングが開けていないと、都度都度出金伝票と振込伝票を記入することになるわけです。これがまた写経でたいへんなこと、たいへんなこと。

 

メガバンクではないので、もらった通帳はどうやって記帳するんだろう? と思ったのですが、金融機関ごとにネットワーク化されていて、同系統の金融機関ならば相互にATMで記帳できるようです。ネットバンキングで残高は確認できるにしても、証跡となることを考えると通帳記帳は必須。自宅の近くにもATMがあるようで助かりました。

あとは決済、引き渡し

残るは決済と引き渡しです。これは売主と買主、そして登記変更を行う司法書士が集まって、司法書士が、確かにその不動産の所有者であるか本人確認を行い、その上で金額を振り込みます。着金を確認したら、決済完了。引き渡しとなり、司法書士が登記変更実務を行うということになります。

 

振り込みを行う関係上、融資を行う銀行に集まることが多いようですね。買い主は特に同席は不要で、今回も「事前に書類を書いてもらえれば、不在でも大丈夫ですよ」と言われたのですが、初めてのことでもあるので、出席してみることにしました。

 

決済の3営業日前までには金消契約を済ませてほしいということで、そこまでは完了。来週には、決済/引き渡しを行う予定です。ワクワクしますね。

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5号基 君津太陽光発電所が連系

3月27日に、5号基となる君津の太陽光発電所が連系しました。実はこの発電所は、2018年の9月に見つけ、最初に契約をしたものです。連系まで実に2年半。いやはや、なんとも時間がかかった案件でした。

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連系までの流れ

この物件は、高層道路を降りて数分のところにあり、実は自宅から最も近い場所に位置しています。最大の難点だったのは、電柱が100メートルほど離れたところにあることです。太陽光発電所では、東京電力の電気系統と接続する必要があるため、電柱が近くにないと、工事を行って電気を引っ張ってくる必要があります。そして、この工事費用はこちらの負担なんですね。

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ただ、コストがかかるだけならばまだOK。東電が現地を確認し見積もりし、料金を請求してくるという流れなのですが、ここにとにかく時間がかかりました。18年9月に申し込んだのに、東電から工事負担金の案内が来たのは20年の10月1日です。これはあまりに待たせすぎでしょう!

 

しかも出てきた費用は、211万1170円。かなり距離があるので100〜200万はかかるかな?と思っていましたが、想定上限を超えてきました。

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ちなみに、これまでの4基の電力負担金は次の通りです。今回の211万円がいかに破格か、わかります。

  1. 木更津 60万7403円
  2. 筑西  72万6859円
  3. いすみ 66万6255円
  4. 白子  60万7403円

土地の決済を済ませたのは3月3日。山間の土地ということもあり、お値段は153万8000円とかなりお安くなっています。403.5坪なので、坪単価は0.4万円です。今回は間に不動産屋も入っておらず、というか入ってはいるのですが、20年間の草刈りメンテナンスを依頼するのが条件になっていて、代わりに仲介手数料などは必要ありません。

 

今回はコロナ禍ということもあり、現地に出向くことなく、銀行振込で登記を司法書士に済ませてもらいました。前回、木更津のときと同じ司法書士で、費用も4万2473円とリーゾナブル。スムーズに済みました。

発電所スペック

申し込みから時間がかなりかかったこともあり、パネルも変更してもらいました。

  • パネル JINKO JKM470M-7R3-J(470W) 212枚
  • パワコン オムロン KPV-A55-J4 5.5kW 9台

出力は99.64kW。最新の単結晶パネルを使い、出力はこれまでの発電所トップです。

  • 木更津 97.2kW(JAソーラー)
  • 筑西  97.2kW(JAソーラー)
  • いすみ 98.8kW(JAソーラー)
  • 白子  87.4kW(JINKO)

特に、同じJINKOのパネルを使った白子発電所は、ほかより10kWくらい出力が小さいのに、発電量はトップ。もちろん日当たりの違いもあるのですが、パネルという点では今回の君津も期待です。

 

表面利回りは11.6%。ただし、電力工事負担金などその他もろもろを入れると、シミュレーション上は9.12%まで落ちてしまいます。これをベースにした計算では、IRRは6.3%。スペック上はまぁまぁの感じです。

 

ただし、やっぱり日当たりが気になるところ。同じように周囲を山に囲まれた木更津が、想定値を10%近く下回る成績しか出せておらず、今回もその懸念が濃厚です。まぁそれでもIRRは少なくとも2%以上は出るので、しかたないとしましょう。

法人Aの発電所がすべて稼働

この5号基君津発電所をもって、法人Aの発電所はすべて稼働したことになります。1、3、4、5号基が所属です。この連系を急いだのは、3月末に法人Aの決算が締まること。2020年度の決算にすべてを稼働させたかったのです。

 

なぜかというと、消費税還付後の免税事業者化を睨んでです。太陽光発電所の場合、消費税の課税事業者を選択することで、消費税還付を受けることができます。システムという高い設備に消費税がかかっていますが、売り上げは大したことがないため、1基あたり100万円規模の還付がなされます。

 

まぁ払った税が戻ってくるだけといえばそうなのですが、ローンは消費税込みで組んでいることがポイントです。場合によっては実質オーバーローン状態になるのが、太陽光の消費税還付の特徴でしょう。

 

そして消費税還付を受けたら、一刻も早く免税事業者に戻る必要があります。売り上げに対して10%の消費税をいただいていますが、免税事業者であれば消費税を収める必要がないからです。また、消費税の簡易課税を選択することもでき、太陽光の場合は売り上げの70%をみなし仕入率として費用に計上できます。免税事業者になるには年間売り上げが1000万円以下である必要があるため、発電所も4基に抑えたというわけです。

 

ただし、この手法が横行したせいか、法改正がなされ、現在は「1000万円以上の設備投資を行ってから3年は免税事業者になれない」となっています。つまり、もし4月に引き渡しが伸びると、1年分、免税事業者になるのが遅れてしまうことになるわけです。これは痛い。

 

というわけで、急いで3月にすべて引き渡し、連系を進めたのですが、なんとかうまくいきました。あとは法人Bで予定している発電所の進捗を待つばかりです。

 

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不動産の融資面談に行ってきた

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売買契約は済ませたものの、一棟アパートの融資はまだ審査が完了していません。今回は、融資の面談に金融機関に行ってきました。プロパーローンは時間がかかるものです。

 用意した書類

金融機関が融資の審査を行う際には、さまざまな書類を元に行います。前回、公庫に借りにいったときは個人の書類だけだったので、比較的シンプルでしたが、今回はぼくが所有する法人もあります。以前は、法人での借り入れを明かさずに融資を受けるなんて荒業もあったようですが、最近はしっかりそのあたりも確認してきます。

 

そのため、下記のように大量の書類を用意しました。

  • 個人の源泉徴収票 3年分
  • 個人の確定申告書 3年分
  • 法人の決算書 2期x2社
  • 法人の登記簿謄本

さらに、法人の事業実態を確認するために、下記の書類も用意です。

  • 太陽光のローン返済表(4基分)
  • 売電実績(4基分)
  • 事業計画書(20年分)
  • 太陽光事業概要書

そして、「太陽光のことはよくわからん」ということでしたので、太陽光事業の特徴と事業構造、そして将来の見通しとリスクについてまとめた事業概要書をA4で3ページ分ほどしたためました。

面談でどんなやり取りがあったのか

面談では、個人の勤務状況や今後の見通しなど、まぁ普通に考えて気になることを聞かれました。さらに、株式などの金融資産の運用方針についても、簡単な説明を。根掘り葉掘り聞かれたというよりも、想定内の質問にとどまった感じです。太陽光についても、もう少し突っ込まれるかと思いきや、事前に事業概要書をお送りしたおかげか、さらっという感じでした。

 

そして、実際の融資条件やスケジュールについて説明がありました。金利、期間、営業区域、融資方針など。今回伺ったところは、金利は2.5%と高めですが、期間が30年と長く、耐用年数オーバーの融資をしてくれます。

 

DCFを中心に判断を行うが、期間に関しては土地の評価額などの積算を加味して、耐用年数残にこだわらない期間を提案するのだということでした。昨今、銀行によっては横に倣えで融資が厳しくなってきている状況ですが、こちらはスルガ事件後もコロナもあまり影響なく、従来どおり、独自の融資方針を続けているということです。

 

ローン返済のタイミングはいつがいいですか? というような、突っ込んだ話も出てきました。

融資先で問題が!

ほぼぼ最終確認に近い感じだな、と安堵した矢先。問題発生です。

「融資先は個人ということでよかったですよね?」

「いえ、法人Aで運営する予定でおりますが」

「あれ、そうなんですか?」

「……」

どうやら、銀行を紹介してくれた不動産屋からその情報がうまく伝わっていなかったようです。あららら。個人への融資を想定していたそうで、個人または新設法人にできないか?と言われました。

 

問題は、法人Aの決算書の見栄えが悪いことにあります。法人Aは2期が終わり3期目がまもなく締まるところなのですが、太陽光発電所が稼働したのは2020年3月から。つまり決算書には1カ月分の売電売り上げしか載っておらず、先行したコストだけがたっぷりはいっている状況です。

 

つまり、赤字状態なだけでなく、債務超過状態。資本金が300万円しかなく、必要な資金を役員からの借り入れで賄っているので、まぁそれはそうです。これは困った。

 

担当者レベルでは、いずれにせよ法人の借り入れは代表であるぼくが連帯保証しており、法人と個人の一体でみれば同じだということを理解してくれているのですが、本部の審査に上げるときに、赤字の債務超過企業への貸し出しは渋られるということでした。

個人で融資の問題

個人で融資を受けて購入するという選択肢もないわけではありません。難点は3つほどあります。1つは、税率的に法人のほうが有利だということ。高年収ならば次々と不動産を買っていき、初期コストの分だけ課税収入を下げるという手もありますが、均してみれば、これは単に課税の先送りです。2年目以降の利益に対する課税は逆に大きくなってしまいます。

 

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減価償却が完了したあと、実質的な税払いが始まる感じですが、やはり20%ほど個人のほうが支払い税額が大きくなります。なお、20年後、ぼくの年収がどうであるか、や法人の売り上げ規模、もちろん物件の規模なども関係するわけですが、全般にみて、やはり法人の方が税金は安くなる感じです。

 

2つ目は、売却時の税率です。個人の場合、所有期間5年以内で売却すると、39.63%(所得税30.63%、住民税9%)という高額な税金が、譲渡益にかかります。譲渡益というのは、簿価に対する売却額の差にかかるものなので、よほど売却額が低くない限り、確実に払うことになります。

 

一方で法人であれば、期間に関係なく通常の法人税で済みます。やはりこちらも法人のほうがお得ですね。

 

3つ目は保証人です。個人で融資を受ける場合、別途連帯保証人が必要になります。家族に連帯保証人になってもらうわけですが、責任を負わせることになるのでちょっと躊躇します。一方で法人で借り入れる場合、代表であるぼく自身が連帯保証人となります。実質的に連帯保証人はいないも同然。このほうがスムーズなわけです。

法人Bでトライ

ではどうするか。そこで相談し、もう一つの法人Bで審査してもらうことにトライです。すでに3基の太陽光発電所が稼働している法人Aと違い、法人Bのほうは1基目が昨年11月に稼働したばかり。

 

決算は9月なので、決算書はまだ売り上げゼロの状態でまっさらな、ほぼ新設法人の形です。こちらならば、審査が通るかもしれないということで、こちらでGOです。

 

なるほど、複数法人ある場合、1社はピカピカの決算書にしておくというのは、やはりプラクティカルには一つのテクニックのようです。

 

はてさてどうなるか。不動産投資は、物件選びもさることながら、やっぱり融資が難関。融資がいけるかどうかがすごく重要で、かつスピードについても時間がかかるものなのですね。

 

一応、担当者からは「このあとも、ぜひ同様の規模の物件を買い足していきましょう」と力強い言葉をいただきました。審査結果が楽しみです。

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収益不動産の火災保険の選び方

不動産投資を始めるときに、「はて、どうしよう?」と思うものの1つが火災保険です。確定、継続的にかかるコストで、しかもコントロールが効きます。こちらの選び方について、ちょうどぴったりの本がありましたので、その内容から考えてみます。

不動産投資と火災保険 改訂増補版

不動産投資と火災保険 改訂増補版

  • 作者:藪井 馨博
  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: 単行本
 

居住者と大家の両方が入る火災保険 

以前からちょっと理解が追いついていなかったのですが、収益不動産の場合、入居者にも火災保険の加入を必須にしますよね。にもかかわらず大家側も火災保険に入るのはなぜでしょう? 実はこれは補償対象が異なるからでした*1

  • 居住者が入る:個人賠償、借家人賠償
  • 大家が入る:建物賠償、施設賠償

居住者が入る保険では、次のような事故を補償します。まず個人賠償はこんな場合になります。

  • 洗濯機のホースが外れて下の部屋に漏水し、階下の住人の衣服類を汚してしまい、弁償をもとめられた
  • 散歩中リードが外れ、ペットが通行人を噛んで治療費を請求された
  • 敷地内外で自転車を走行中、通行人にぶつかってしまい、ケガをさせてしまった

続いて借家人賠償はこういう事故です。

  • 料理中に鍋を焦がしてしまい、部屋の壁紙などをすすで汚してしまった(借家人賠償)
  • 家具を移動中、誤って落としてしまいフローリングに傷をつけてしまった(借家人賠償)
  • 浴室で誤って転倒し、その際に扉ガラスを破損させてしまった(借家人賠償)

 ちょうど下記の記事で書いた、部屋を借りるときの火災(家財)保険の見直しのときのイメージどおりですね。居住者は退去のときに現状回復の責任がありますが、それをフォローするのがこちらの保険です。

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 では、大家側が入る建物賠償、施設賠償とはどんなものでしょう。

  • 建物の外壁タイルが剥がれ落ちて通行人にケガをさせてしまった
  • 給排水設備が水漏れを起こして入居者の家財を壊してしまった
  • 配電盤のトラブルによって火事が起こり入居者を死傷させてしまった
  • 共有部分階段の手すりが錆びていて、階段を登っている間に崩落し、入居者にケガをさせてしまった
  • エレベーターに人が挟まってケガをさせてしまった

このように目的が違うので、両方で火災保険に入ることが必要になるそうです。誰に責任があるかによって保険が変わるともいえます。建物に損害があったとき、入居者が入る火災保険で対応できるのは入居者に責任があるときだけ。隣家からの延焼や不審火、自然災害などで損害を受けた場合は、大家側の保険でしか対応できないということです。

 火災保険の選び方

火災保険は、複数の補償に分かれています。SBI損保の次の図がわかりやすかったです。このうち、火災(火災、落雷、破裂、爆発)と風災はどの保険にも含まれているとして、水災以降はセットになっている場合とオプションの場合があるようですね。

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ここで保険に対する考え方が分かれるのですが、火災保険は使用しても保険料が上がることはありません。あまりにたくさん保険を使った場合、それが自然災害ならば問題ありませんが、大家側の対策不足に起因するとみなされると、次回、加入を断られる場合はあるそうですが。

火災は補償額に注意

さてまずはメインの火災です。本書の著者は、「建物評価額を超えて支払われることはないので注意」と書きます。火災保険は、その建物に生じた被害を回復するためのものなので、焼け太りは起きないようになっているということです。例えば、

  • 融資額が7000万、評価額5000万だと、7000万の保険に入っても上限は5000万
  • 融資額2000万、評価額5000万だと、2000万の保険では2000万しか出ない

そのため、融資額を基準にするのではなく、加入する保険会社の設定する評価額基準をもとにしなくてはいけません。

 

また、評価額には2種類あって、次のようになっています。

  • 新価(再調達価額) 同等のものを再築・再購入するのに必要な金額
  • 時価 経過年数による価値の減少と使用による損耗分を差し引いた金額

 以前は時価が多かったが、現在は新価(再調達価額)がほとんど。ただし、15〜20年前に契約したものには注意だそうです。

保険金額は次の項目で変わる

さて保険金額の算定方法はどうなっているのでしょう。基本的には、県別・構造・用途の3つで変わるそうです。

 

都道府県によって、自然災害が発生する頻度、過去の被災状況、住宅密度による延焼リスクなどが異なるからです。北海道や日本海側では雪害のリスクが高く、九州や四国では台風・水災被害のリスクが高まります。それに応じて保険料も変わるということです。

 

構造は燃えにくさです。最も安いのがRC/SRCの鉄筋コンクリート造(M構造)。続いて鉄骨、2x4工法、プレハブ、準耐火建造物などのT構造、そして一番高くなるのが在来木造建物のH構造です。著者の試算だと、一律同じ5000万円の保険金額(建物価格)だとすると、次の違いがあったそうです。

  • H構造(木造) 年間14万円
  • T構造(鉄骨) 年間7万円
  • M構造(RC) 年間5万円

さらに、用途でも変わります。住宅物件と店舗が入った一般物件では異なり、一般のほうが高くなります。

1Fがコンビニなどの店舗で、2Fから上階は共同住宅の場合、さらに1.5〜2倍ほど保険料はアップします。

 地震保険はどこで入っても同じ

つづいてオプション(付帯)について。地震の際に補償が受けられる地震保険は官民一体の保険であり、地震保険によって損保会社は利益を得ていないのだそうです。

(法律では)契約上の必要経費を除いた額と、その運用益のすべてを責任準備金として積み立て続けることを政府および保険会社に義務付けています。

各保険会社が契約者から預かった保険料は、保険会社の利益なしに積み立てられ、更に保険料の一部は再保険として政府に支払われることになります。

そのため、どの保険会社で地震保険に加入しても保険料は同額なのだそうです。また、火災保険は、全損した場合、評価額の全額が支払われますが、地震保険では最大でもその半分までしかかけることができません。つまり、全壊しても半分までしか支払われないということです。

 

また、火災や津波などの被害であっても、それが地震に起因するものであれば、通常の火災保険は対象外。地震保険に入っていないといけません。

 

通常保険というのは大数の法則のもとに、大量の契約があれば、支払いが必要な保険金は確率的に一定になるという計算のもとに成り立っています。ところが地震保険は、いったん起こると契約者のかなりの数で保険金支払が必要になります。システミック・リスクの1つですね。時間的に分散された保険ともいえるかもしれません。

 

では地震保険以外のオプション(付帯)はどう見るといいのでしょうか。

1位 不測かつ突発的な事故

 著者は、著者は保険代理人なのですが、実際に収益不動産の保険で利用が多かったものを挙げています。そして「使う確率が高い補償にこそ保険料を使うべき」だと主張しています。

 

その第1位は「不測かつ突発的な事故」。これは他の補償に該当しない中で、予測できなかった事故や突発的に起こった事故を補償するものになります。 

  • 知らない間に物件の外壁や敷地内のポールをクルマでブツけられていた
  • スプレーで物件に落書きをされてしまった
  • 集合ポストがイタズラされて破壊された

 こちらは保険会社によっては付帯できないので、要確認だそうです。入居者向けの火災保険でも、この付帯は便利だということで記事にしました。

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2位 風災事故

2位は「風災事故」。特に、台風の通り道にあると避けられない、といいます。

  • 屋根の一部や雨樋、集合テレビアンテナが吹き飛ばされた

3位 落雷事故

ここ数年で大幅に順位を上げてきた補償だそうです。

  • インターネット回線が焼き付いてインターネットができなくなった
  • オートロック基盤が壊れて全戸施錠ができなくなった
  • 機械式駐車場の圧力ポンプが作動しなくなった
  • エレベーター基盤がおかしくなって使用できなくなった

4位 水漏れ事故・水濡れ事故

築15年をすぎるとこれがダントツになるそうです。

 

支払い期間をどうするか

火災保険の選択肢で、考えられるのは期間ですね。平成27年の火災保険料改定により、最長10年までしか火災保険はかけられなくなりました(地震保険は最長5年まで)。

 

著者がお勧めする期間は5年だそうです。これは5年経過すると、個人の場合譲渡税が半額になるので、少なくとも5年間は保有するからという理由のようです。逆に法人の場合は5年は関係ありませんね。 

以前は、長期のほうが割安でしたが、現在は10年一括が普通なので、以前ほどの割安感はない。オススメは5年一括

途中解約だと、契約期間に応じて解約返戻金。ただし、未経過料率という係数は保険会社によって異なる。

 支払い方法には月払いも選べる場合がありますが、「非常に割高」だといいます。

3棟分で1棟分の保険料が捻出できるほど一括払いのほうがお得

 トラブル

最後にトラブル対応を。まず何か事故が起こった場合、保険会社とスムーズに交渉するには、迅速な対応が必要だということです。時間が経つと経年劣化が原因のものと区別がつかなくなり、調査に時間がかかるから。全体像が分かるように写真を撮ってすぐに送るべきということでした。

 

またしっかりメンテナンスをしている物件のほうが、保険金請求がやりやすくなるという話も。 

 火災保険という角度から見ても、「経年劣化」や「起こるべくして起こった故障・破損」は支払対象外です。しかし、こまめなメンテ記録があれば保険会社に「交渉」する余地ができるのです。 

 

 また入居者が加入する火災保険にも注意ですね。普通は火災保険の加入必須としていますが、入居者によってはいつの間にか無保険状態で住んでいる場合があるからです。

入居時は加入証書や証券コピーを提出しないと鍵の引き渡しを行なわないので、最初の2年間は問題ありません。しかし、2年後の満期時に更新されていないケースが多く、トラブルが多発しています。

 

最後にちょっと興味深かったのが、家賃と保険適用の相関の話です。  

家賃と常識外の賠償事故は反比例する。これは、家賃が低い物件ほど入居者とのトラブルに発展する賠償事故発生確率が高くなるというものです。

さらに、賃貸の世界にも当たり屋というのがいるのだそうです。その手口は、家賃が安い物件を探し、次に自主管理かどうか?を調べます。そして入居して3カ月から半年後に、次のようなことを言ってくるのだとか。

  • 突然、床が抜けて転倒した。病院に行くので治療費と交通費を出してくれ
  • 雨漏りで大事な家財道具が濡れて使えなくなった。全部新品に買い直してくれ
  • 階段の手摺がいきなり崩れて、階段から転げ落ちて骨折した。仕事を休むので休業補償してくれ
  • 外壁の一部が剥がれ落ちてきて、車に傷がついた。全塗装か書い直してくれ

 結局どうするか

では結局火災保険はどうするのがいいでしょうか。正直良くわからないというのが本音です。本書は、著者が保険代理人であり、多くの賃貸住宅オーナーに保険を売っている立場だということもあり、「保険は入っておいたほうがお得だよ」という観点で書かれています。いわばポジショントークです。

 

確かに収益不動産はローンを組んで購入するので、何か起きてからでは取り返しがつきません。

 

ぼくが取得を予定している物件では、東京海上日動の保険の見積もりをしてみましたが、火災、風災、水災の基本プランに対して、盗難と水濡れを追加すると支払い保険額が4%アップ、すべてのオプションをつけたフルのプランだと8%アップとなっていました。

 

金額は、1年あたり物件購入価格の0.17〜0.19%。満室年間賃料の2.5〜2.7%にのぼります。管理費が5%くらいなことを考えると、バカにできない費用ですね。ざっと見たところ、建物評価額が実態より高くなっていようにも見えるので、少し相談したり、相見積もりを取ってみたいと思います。

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*1:補償と保障と保証。いったいどうやって使い分けるのかと思っていたら、被った損害を補填する場合が「補償」。つまり損害保険など損保会社がこの補償という言葉を使うのだそうです。「保障」は、不安がないように責任をもって請け負う、保護するという意味だそうで、生命保険会社の場合これを使います。そして「保証」は、間違いなく大丈夫だと請け負うという意味で証明の意味から保証となります。家電の保証書が代表例です。

2021年2月の太陽光発電所パフォーマンス 4基まとめ

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太陽光発電所4基が2月はフル稼働しました。晴天も多く、よく発電してくれた2月のパフォーマンスをまとめておきます。

月間発電状況

2月の発電状況を加えた推移です。単位はkWh。4つの発電所がすべてフル稼働し、合計の発電量は3万5000kWhを超えました。一般的な4人世帯で月間使用電力は400kWhとも言われています。ぼくの発電所だけで87世帯分の電気をまかなったと思うと、感慨深いですね。

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ではこの発電量は、当初の計画に比べてどうだったか。ありがたいことに、4つの発電所すべてで計画を上振れしました。木更津が計画を超えるのは半年ぶり。うれしいものです。

  • 木更津 104%
  • 筑西 103%
  • いすみ 111%
  • 白子 113%

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逆にいうと、これは天気が良い月だったということでもあります。

売電とCFの状況

ぼくの発電所はすべてFIT18円案件なので、kWhあたり18円が売り上げになります。ここからローン返済額を引いたキャシュフロー(CF)をまとめたのが下記です。木更津は相変わらずCFが赤字なのですが、ほかの発電所は6〜8万円ほど稼いでくれました。合計月間CFは21万円超です。

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もちろんここから草刈りのランニング費用、パワコンの電気代、税理士顧問料や税金、販管費などがコストとしてかかりますので、大儲けというわけではないのですが、安定したCFが出てくるのはいいことです。

木更津発電所祝1年

念の為ですが、木更津のCFが悪いのは、他が15年返済なのに対して木更津だけ10年返済のため。とはいえ、発電量も少ないのが困ったものなのですが。そんな木更津ですが1号基として連系から1年が経ちました。改めて、年間パフォーマンスも見ておきます。

 

もちろん天候によって、実績は計画を上回ったり下回ったりするわけですが、12ヶ月のうち計画に達したのが3カ月間だけというのはちょっといただけません。年間均すと、計画発電量に対し、実績発電量は90%でした。売り上げ計画が10%も下振れたら、普通の事業では大赤字ですが、太陽光ではかろうじてCF損益トントンという感じです。

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発電所評価額

このデータを元に各発電所の評価額を計算してみます。将来CFを割り引いて足し合わせるDCFを使います。割引率は6%。

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1月分のDCF評価額に比べて、4.9%のアップとなりました。要因は2つあって、ひとつは稼働直後の発電所が2月はたまたま上振れしたために、将来CFも敷衍して増加見込みの計算になったことです。もう一つはDCF法の特徴でもありますが、木更津発電所が1年経過して、将来CFがそれぞれ1年前倒しになった点です。木更津発電所は評価額が、実に24%もアップしました。

 

割引率6%なのに、1年経っただけでなぜ24%もアップするのか? 木更津発電所は11年目以降のCFが大きく、その割引が減少したことが大きいですね。さらに2月の上振れで多少将来発電見込み額が増加したことも影響しています。

 

IRRの予実は、結果次のようになりました。木更津はまさかの0.56%で、かなり厳しい利回りです。もっとも、発電システムの消費税還付もありますし、免税事業者に戻った暁には益税も期待できると踏んでいるので、もう少しリターンは増加するはずです。白子はトップクラスの8.2%ですが、まだ発電実績が1カ月しかなく、この月が好調だったので、今後はどこかの数値に落ち着いていくでしょう。

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各発電所のDCF評価額比率は、次のようになります。それぞれ低圧(49.5kW)の発電所で、パネル出力も87〜98kWとあまり差がないのに、評価額では3倍以上の違いになっているのが面白いところですね。

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なお、3月にはあと2基、君津と石岡が竣工予定です。連携タイミングはまだ分かりませんが、まだまだ太陽光発電所は増加します。

 

各太陽光発電所のスペックは次のとおりです。

  • 1号基 木更津発電所 2020年3月連系
  • 2号基 筑西発電所 2020年10月連系
  • 3号基 いすみ発電所 2020年12月連系
  • 4号基 白子発電所 2021年1月連系
  • 5号基 石岡発電所 2021年3月連系予定
  • 6号基 君津発電所 2021年4月連系見込み
  • 7号基 栃木県   2021年5月連系見込み

FIT単価はいずれも18円。システムのスペックは次のようになっています。

  • 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • 筑西発電所  JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
  • 白子発電所  JINKO(87.42kW)/オムロン

1月の太陽光発電パフォーマンスはこちら。

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太陽光グランドカバー植物を選ぶ クローバー?ダイカンドラ?

 太陽光発電所は不動産などと違い、ほとんどメンテナンスがいらないのが特徴です。故障などのトラブル以外では、放っておくだけで20年間安定して売り上げてくれます。ただし、一つだけ必要なメンテナンスがあります。雑草対策です。

 

屋根に設置するソーラーパネルと違い、地面に設置する野立発電所では、生えてきた草がパネルを覆うと発電量に悪影響。さらにホットスポットなどになると、パネルの損傷にもつながります。対策としては、次のようなものがありますが、さて。

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発電所の雑草対策

発電所の雑草対策には次のようなものが言われています。

  • 草刈り   100円/m2
  • 除草剤   100円/m2
  • 防草シート 800円/m2
  • 砕石    400円/m2
  • コンクリート 1万円/m2
  • グランドカバー 500円〜/m2

スポットの料金はこんな感じのようですが、実は頻度が異なります。草刈りは年3〜4回程度は必要。除草剤も定期的に撒く必要がありますね。防草シートは3〜10年程度持つようですが、初期費用が高くなります。砕石は効果が低いわりに、失敗(草が生えてきた)場合に、その後の対策が取りにくくなります。コンクリートは万全な対策ですが、コストの高さが大きなネックです。

 

対策頻度を含めてトータルコストをざっくり計算してみると次のようになります。低圧で土地はよくある1500m2想定です。10年間の合計コストを考えてみます。

  • 草刈り 年10万 x 10年 → 100万円
  • 除草剤 6万 × 3回 x 10年 → 180万円
  • 防草シート 120万円(1回)
  • 砕石   60万円(1回)
  • コンクリート 1500万円(!)
  • グランドカバー 75万円〜?

いやはや、いろいろとコストがかかりますね。

現在の雑草対策

ぼくの発電所の現在の雑草対策は次のようになっています。

こちらの自主管理物件は、草刈り機を使った手動刈り込みをしていましたが、今後もことも考えて、グランドカバー植物を導入する目論見です。

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ちなみに、草刈り機は1台4万円くらいしますが、一つ買っておけば複数の発電所で使えます。また、現地に行って作業するので時間と手間はかかりますが、身体を動かす作業なので、意外と楽しいんですよね。個人的には、現地視察を兼ねて年3回くらい草刈りにいくのは苦にならない。そんな感じです。

 

投資と考えると、自分は何もせず、外注をうまく使って回していくのが正攻法なんでしょうけど、自分が動いて対応すれば、コストが節約できるだけでなく、「事業をやってる」感もあって、けっこう好きなのです。

 

そういう意味では、草刈りのほかに、手間とノウハウがかかると言われているグランドカバー植物が面白そうですね。 

グランドカバー植物のメリット 

グランドカバーとは地面を特定の植物で覆ってしまい、背の高くなる邪魔な植物が伸びるのを防止する植物のことです。 

雑草管理の手法の中で、「被覆植物が最も経済性に優れる」というのは世界の常識になっています。その理由の1つは、効果の永年性にあります。一度、植え付けて根付けば、20年はもとより、ほぼ永久に防草効果が期待できます。

「カバープランツは除草対策で最も経済的」。緑地雑草科学研究所・理事に聞く(第5回・前半)(4ページ目) | 日経クロステック(xTECH)

 さらに、地表温度の低下も期待できます。ソーラーパネルは温度が上昇すると効率が落ちます。夏は日照時間も長いのですが気温も上がるため、その分発電量が下がってしまうんですね。

太陽電池には、パネル温度が上昇すると電圧が低下し、発電効率が落ちるという特徴があります。太陽電池が結晶系の場合は概ね-0.4%/℃、アモルファス系の場合は-0.2%/℃と言われ、10℃の温度上昇で概ね2~4%、発電量が目減りします。

太陽電池パネルの温度と発電電力|モニタリング基礎講座

コンクリートなどだと照り返しもあって、さらに温度が上がってしまいますが、緑の植物で覆えば、気温が高いときには水蒸気を放出して温度を下げてくれるので、温度の低下も期待できるというわけです。

 

ではどんな植物が候補になるのでしょうか。

クローバー/ホワイトクローバー

最もメジャーなグランドカバー植物がクローバーです。最大のポイントは安さ。下記は1リットルの種で2980円です。800グラムほど入っているようです。1リットルで6坪≒20m2程度らしいので、m2あたりのコストは150円ほど。あとはうまく根付くかどうかですが、さて。 

ホワイトクローバーお徳用種子 1L詰

ホワイトクローバーお徳用種子 1L詰

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ただし問題もあります。 

クローバーが防草対策に向かないのは、通年性の問題です。本来、寒地型で夏の高温と乾燥によって衰退し、雑草と置き換わる可能性があります。そもそもクローバーは、空中窒素を固定するため、イネ科の牧草と一緒に使われて、収量を高める役目を持っていました。これを雑草対策としてメガソーラーの下に植栽した場合、土壌が肥沃になるので、かえって雑草の繁茂を促してしまいます。

「カバープランツは除草対策で最も経済的」。緑地雑草科学研究所・理事に聞く(第5回・前半) - 特集 - メガソーラービジネス : 日経BP

 確かにクローバーは繁殖力旺盛ですが、肥料の代わりにもなると言われていて、土地が肥沃になってしまうそうな。いや、できれば不毛の地にしたいわけで、悩ましいところです。 

ダイカンドラ

最近グランドカバー植物として注目されているのがダイカンドラです。こちら1kg=1リットルで6480円。m2あたり10〜15グラムの播種ということなので、65円〜100円/m2のコストです。 

 ただ課題としては耐寒性に課題があり、寒い地域では霜や雪で枯れてしまう場合があるそうです。業務用としてはメガソーラーにも使われていて、その場合は播種ではなく、畑で栽培したものをマットにして出荷しているそうです。

 

ダイカンドラのマットによる雑草対策費として、面積1000m2あたり、20年間の合計で170万円を目安として提示している。初期費用として130万円、年1回の管理費として2万円×20年間を想定

東金市のメガソーラーに見る、多年草「ダイカンドラ」による雑草対策 | 日経クロステック(xTECH) 

クラピア

日本生まれのグランドカバー植物で、除草学者の倉持氏が開発したのがクラピアです。開発者の名前が冠されています。10年の歳月をかけて耐寒性(耐寒温度−10℃)を実現したとか。芝生の10倍の速さで地面を覆い、地表温度を下げる効果も高いそうです。

 

問題は価格。種ではなく苗で販売されていて、m2あたり4ポットを植える感じだそうです。そして10ポット(苗10個)の価格はなんと6270円!m2あたり2500円ものコストがかかってしまいます。 

クラピア 花苗 K5 薄ピンク花 10個入

クラピア 花苗 K5 薄ピンク花 10個入

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 ただし、クラピアは横に伸びて根を張るという増え方をします。そして繁殖力も強いので、放っておけば横にどんどん広がるようです。また、増えたものを切り出して苗のように株分けすることもできるようです。乾燥させると根付かないようなので、遠隔地で果たして増やせるのかは、とても難しそうな気がするのですが。。

 

数ポット買って、家のベランダのプランターで増やしてみて、それを随時移植できないか? ということを現在は考えています。水が必要ということは、梅雨前、5月から6月くらいに植えるのがベストなのでしょうか。このあたりは難しいけれど、ガーデニングに似て面白そうでもあります。

 

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太陽光パワコン電気契約がついに従量電灯Aに

木更津1号発電所の電気契約が、やっと「従量電灯A」に切り替わりました。これで月額の電気代が大幅に安くなります。ここまでの流れをまとめておきます。

夜間パワコンにかかる電気代、2000円少々

下記の記事に書いたように、太陽光発電所の稼働には電気代がかかります。自分で発電しているのになんで?と思いますが、全量買取契約というのは発電した電気をすべて売却するので、発電制御機器であるパワーコンディショナー(パワコン)を稼働する電気は買わなくてはいけないからです。

 

こちら、過去の請求書を見ると、発電所あたりパワコン9台でだいたい9kWhというところ。これだけで2000円〜2500円程度の電気代が毎月請求されてきます。 

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2000円をバカにすることなかれ。現在すでに4基が稼働していますが、これだけで1万円弱。年間で12万円が飛んでいきます。あり得ない!ということで、電気契約の切り替えを目論んできました。使っただけ電気料金を支払う従量契約にすれば、ものすごく安い料金になるからです。

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これまでの経緯 

木更津1号基の連系は2020年の3月。これを従量電灯Aに切り替える目論見です。そのためには、400VA以上の負荷設備が必要だということで、まずはそれら機器をつなぐためのコンセント工事からスタートです。

 

2020年7月に、EPC業者を通じてコンセント設置と契約切り替えの依頼を出しました。なんだかんだあり、実際に工事の請負契約を結んだのが12月。費用は5万円でした。年内から年明けにかけて工事が終わり、電気契約はどうなったかな? と思っていたところでした。

 

実は木更津の契約にはぼくの携帯電話が登録してあったようで、突如、電気代の支払いが紙からSMSに切り替わりました。東電は紙の振り込み書から、SMSを使った携帯払いへの変更を進めているようです。それはそれでいいのですが、SMSには最低限の情報しか乗っておらず、あまりに不親切。

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SMS記載のURLを開くと、いきなり郵便番号と電話番号を入れろと出るのですが、えと? この電気代はいったいどこの発電所のものでしょう? 先にそれを教えて下さい。。。

 

というわけで、このSMSで送られてくるのはどこの契約でしょう? と東京電力パワーグリッドに電話したのが始まりです。お客様番号を伝えて調べてもらおうとしたら、「こちらではSMSになっているのかどうか分かりません」という返答。では、未払いになっていますか? と確認すると、「2月分1500円がまだのようです」と。

 

え? 1500円? いったいどういうこと? と思っていると、「どうやらこの契約は終了しているようです」と言われます。終了? ますます深まる謎。いま、どんな契約になっているんですか? と聞くと、「こちらは料金担当なので分かりません。この電話にかけてみてください」と。出ました。東電に多いたらい回しです。

 

電話番号にかけても、「ただいまコロナウイルス蔓延のため、お電話がたいへんつながりにくくなっております……」。いやはや。こちらも電話したくてしているわけではありません。Webサイトがたいへん分かりにくい、またWebサイトで手続きできないので、仕方なく電話しているわけです。新たな番号を示されると、これで再び10分以上待たされます。フリーダイヤルだということが、唯一の救いです。

 

そして再びつながったオペレーターさんに確認して驚き。「このお客様番号は、契約が終了していますね。しばらくお待ち下さい」。いったいどうなっているんだ? と思ったら、「1月29日に、従量電灯Aに切り替わり、お客様番号が新しくなっています」とのこと。

 

なるほどなんとそういうことですか。どうやらコンセント工事から時を空けずに電気契約が切り替わったようです。よかった。

従量電灯A

これまでの「定額電灯」は、定額ではあるものの機器のワット数に応じて1台ごとにかかる契約でした。パワコンは50VA以下ということで、1機器196円49銭。これが9台で1768円。そこに基本料金にあたる需要家料金52円50銭が追加されます。あれ? 合計しても2000円を超えないのですが、なぜだろう? まぁいいや。

 

さて、従量電灯Aは、全体で1つの契約になります。8kWhまでは216円30銭。超過1kWhごとに17円87銭です。これまでの実績からいうと、いって9kWh。つまり、234円で収まる計算ですね。と思ったら、いつの間にか従量電灯Aも値上げされていました。現在は、8kWhまで235円84銭、超過1kWhごとに19円88銭です。255円です。

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やっとまっとうな電気料金になったということです。

新電力への切り替えを検討する

さて200円台まで下がることが想定される電気代ですが、これを更に下げる方法もあります。新電力です。「Looopでんき」が基本料金ゼロを打ち出して人気を博した結果、他社も追随。20社近くが基本料ゼロのプランを用意しているようです。

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ただ、従量電灯A(東電)ではLooopでんきに切り替えることはできず、一般的な従量電灯Bに切り替える必要があるようです。

おうちプランをご要望される場合は現在の電力会社で従量電灯B(関西電力、中国電力、四国電力は従量電灯A)の契約に切り替えてLooopでんきにお申し込みください。

またLooopでんきの従量単価(関東地区)は税込みで26円/kWh。他社も似たりよったりで、それでも例えば「0円でんき」は26.3円/kWh、「ジャパンン電力」は26円/kWhといった感じなので、Looopでんきが良いようです。

 

これだけでいえば、9kWhだと234円なので、従量電灯Aと大して変わりません。ところが新電力の多くは、キャンペーンを実施していて、乗り換えプレゼントがある場合が多いんですね。

 

例えば一時Twitterで話題になった「ミツウロコでんき」では、比較サイトなどを経由して3月31日までに申し込むと最大Amazonギフト券1万円分がもらえるようです。

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切り替えてもいいのですが、今度は従量電灯Aから従量電灯Bへの切り替えが必要ですね。キャンペーン系はめんどうくさい。。何が面倒って、ことごとくお役所的な東京電力とやり取りするのが苦痛です。

 

まずはしばらく従量電灯Aで過ごしてみて、必要に応じて切り替えを検討してみることにします。

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アパート一棟、ついに契約

数年前からずっと「買う買う」詐欺をしていた不動産。ついに、一棟もののアパートの契約をしました。いろいろとすぐに試してみる性格なのですが、不動産はなかなかハードルを超えるのに苦労しました。

物件概要

今回契約した物件は、未公開の都内一棟もの。木造全9室のワンルームです。築3年と築浅なのが特徴で、表面利回りは7%になります。違法建築ものでもなく、極めて一般的なアパートですね。土地が旗竿というところがちょっと気がかりますが、いい感じの物件です。

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契約までの経緯

何度か相談をしていた不動産屋経由での物件になります。案内をもらってすぐに、詳細の問い合わせをしたのが1月15日。レントロールや土地の公図などを確認しつつ、収益シミュレーションを行い、何度かの打ち合わせを経て、2月頭に銀行への融資打診となりました。

 

シミュレーションの方針は、5年税引前IRRで8%。これを上回る融資条件ならばGoという感じです。結果、自己資金割合23%、金利2%以下ならば行けそうという感じになりました。

 

よくあるオリックス銀行などでは自己資金4割以上必要という回答。数年前のフルローン、オーバーローンが当たり前という状況から見ると、相当に融資状況が厳しくなっていますね。その後2月12日に、銀行から返答。提示条件で融資が行けそうということでした。耐用年数いっぱいの18年、某地銀のプロパーローンです。

 

2月頭に、空室だった部屋に入居者が付いたという連絡も。これで現在満室状態です。

 

その後、2月26日に融資条件付きの売買契約を締結。不動産会社のオフィスにて、手付金を支払い、契約書に捺印してきました。ありがたいことに、同条件で別の地銀も検討してくれているということ。どちらかで決まるか、条件のいいほうで決められそうという状況です。

 

3月22日前後までに最終的な融資判断が出るそうで、それが終わったら、銀行にて金消契約(金銭消費貸借契約)を結びます。その後、融資額が売り主口座に入金され、同時にぼくのほうも頭金を送金。そのタイミングで晴れて所有権移動、登記変更、物件の引き渡しとなります。スムーズにいって3月末という感じですね。

収益シミュレーション

今回は下記の条件で収益シミュレーションを行いました*1

  • 自己資金23%
  • 借入金利2%
  • ローン年数18年(建物耐用年数22年)
  • 平均入居年数4年、募集平均期間2カ月(→想定入居率96%)
  • 法人名義購入

ざっと、表面利回りは7%。対して経費率23.3%を引いたNOI(Net Operating Income)利回りは5.37%です。すると年数ごとのIRR推移は次のようになります。これは購入時価格で売却した場合のIRR(内部収益率)です。5年後、または10年後に売却して出口を迎えた際に、プロジェクト全体の年間リターンがどうだったかを表します。

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キャッシュフロー(CF)の推移は次のようになります。額は伏せていますが、年間で物件価格の0.3%、初期投下費用の0.9%のリターンでしかありません。

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ローン完済までの18年間のCFですが、2つの特徴があります。まず18年と比較的短いローンだけあって、大したCFは出ません。初期の売買にかかわるコスト(物件価格の4.5%計算)を回収できるのは、19年目まで待つ必要があります。もうひとつは、減価償却期間とローン期間がほぼ一致しているので、減価償却費をローン返済額が上回る、いわゆるデッドクロスは起きません。

 

つまり、この不動産投資は、出口を迎えて初めてしっかりとしたリターンが出る投資だということです。太陽光発電投資とは考え方が違いますね。購入価格と同額で売却した場合に、売却CFを含めた累計キャッシュフローが、初期投下資金の何倍になっているのかを表すマルチプルは次のようになります。10年後売却で、だいたい2倍になる計算ですね。

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売却シミュレーション

では売却時のシミュレーションです。まずは収支トントン、ブレークイーブンになる条件から。これは賃料下落がない前提での計算になります。この表面利回りとは、賃料を物件価格で割ったもの。つまり、売り主からすると表面利回りが低いほど高く売れるということであり、買い主からすると高いほど安く買えるということになります。

  • 5年後売却時表面利回り 8.03%
  • 10年後売却時表面利回り 10.79%

この数字を見ると、購入時7%でしたから、売却時にここまで利回りを高くして売ってもブレークイーブンだということです。

 

ただし賃料は下落します。東京23区のワンルームの場合、木造は5年で3%程度、10年で5%ほどの賃料低下が想定されます。これを入れ込むと、次のような計算になります。

  • 5年後売却時表面利回り 7.79%
  • 10年後売却時表面利回り 10.25%

仮に5年後に7.5%の利回りで売却したとするします。CF累計を除き、売却利益で投下資金に対して税引き後で28.39%のリターン(年換算5.1%)が得られる計算です。7%の利回りなら、46.42%(年換算7.9%)ですね。10年後だと、残債が小さくなっていることから、7.5%なら86.98%(年換算6.4%)、7%なら105.02%(年換算7.41%)の利益になります。これに、累計で得られたCFが追加になる計算です。

 

購入売却時の税金や仲介手数料が大きく、やっぱり不動産は税金と手数料との戦いだということが分かります。

懸念の融資

とはいえ、これらは銀行融資がおりなければいわゆる絵に描いた餅です。幸い2行が検討してくれているので、なんとかまとまってくれればいいのですが……。ちなみに、ぼくの場合、融資審査に関するポジティブ材料とネガティブ材料は次の通りでした。

 

ポジティブ

  • 資産額
  • 勤務先の状態
  • 太陽光以外の借入なし

ネガティブ

  • セミリタイアに伴う低給与
  • 太陽光発電所の借入

当然のことですが、セミリタイア前に比べて属性的には大幅ダウン。さらに、太陽光発電所の土地と動産がありますが、これらは銀行は担保評価してくれません。相当ネガティブな状況の中、いろいろと頑張ってくれている感じです。

 

太陽光事業があるため、太陽光の試算や法人の決算書など、個人で普通に必要になる書類に比べて相当な数の書類を出すことになりました。いずれも資料はあるので集めるだけなのですが、これを読み解いて稟議書にまとめることを考えると、銀行の融資業務というのも大変だなぁと思う次第です。

資金を用意する

今回、手付金は支払ったものの、融資が確定したら残金の支払いのために、物件価格の23%の現金を用意する必要があります。これは総資産の16%程度にあたります。

 

よくも悪くも現金は寝かせておかない主義なので、手持ちの金融資産を現金に変えなくてはいけません。現金同等物であるオルタナティブセグメントの比率は24.8%あるので、これを充てれば賄えますが、けっこうなリターンを出しているセグメントなだけに、本当総資産の20%くらいは現金として確保しておきたいもの。

 

というわけで売却候補は次のようになります。

  • 一部の米ETF(セクターETFのXLPを処分しようかと)
  • 積立しているひふみ投信(わずかな額ですが、処分済み)
  • ドルMMF(106円くらいで円転したい)
  • 優待クロス用資金
  • Bitcoin(構成比率が高まっているので一部売却したいが、税金が……)

基本的には優待クロス用資金をいったん不動産購入費用に充てるつもりです。税金を考えるとBitcoinはちょっと悩みますね。雑所得損失でカバーできる範囲内で毎年少しずつ売却していくのが基本方針だったりしています。

 

しかし優待クロスは3月末に年間の山場を迎えます。正直、資金はいくらあってもいいくらいの状況。そして、3月銘柄の利回りは1%を超えてくるものが大量にあるわけです。さぁなんとか資金がほしいのですが、さてどうするか。準備をしつつ、銀行融資結果を待ちたいと思っています。

 

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*1:シミュレーションは玉川陽介著『Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて』を使っています。

2021年1月の太陽光発電パフォーマンス 4基まとめ

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数年かけて仕込んできた太陽光発電所も4カ所が稼働し、それぞれ元気に発電を行っています。それぞれの状況をまとめておきたいと思います。

現在の発電所状況

現在の太陽光発電所の状況は次のとおりになります。

  • 1号基 木更津発電所 2020年3月連系
  • 2号基 筑西発電所 2020年10月連系
  • 3号基 いすみ発電所 2020年12月連系
  • 4号基 白子発電所 2021年1月連系
  • 5号基 石岡発電所 2021年3月連系予定
  • 6号基 君津発電所 2021年4月連系見込み
  • 7号基 栃木県   2021年5月連系見込み

FIT単価はいずれも18円。システムのスペックは次のようになっています。

  • 木更津発電所 JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • 筑西発電所  JAソーラー(97.2kW)/オムロン
  • いすみ発電所 JAソーラー(98.8kW)/オムロン
  • 白子発電所  JINKO(87.42kW)/オムロン

月間発電状況

それではまず毎月の発電状況の推移です。単位はkWh。1月の白子稼働で、25MWhまで発電量が増加となりました*1

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さて絶対的な発電量はともかくとして、問題は予実です。当初利回りを弾いた発電計画に対して、実績がどうだったか? ということです。それがこちら。各月の計画値と実績値を比較して、100%以上なら上振れ、以下なら下振れという計算です。

 

しかし、あれ? 元々下振れ気味だった木更津は相変わらず80%〜90%あたりをいったりきたり。そして11月こそ上振れした筑西も、12月、1月と大きく計画を下回ってしまいました。もう少し上振れると踏んでいたのですが、なかなか難しいものですね。

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売電とCFの状況

では発電した電力を売却した売電額から、ローン返済額を引いたキャッシュフロー(CF)はどうでしょうか。下記がCFの月次推移です。いやはや、こちらも結構厳しいですね。さすがに4発電所だと赤字の月はないはずですが、木更津の赤字がほかの発電所1基分のCFを食いつぶす月もでてきています。

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念の為ですが、木更津のCFがこれほど悪いのは、下振れのせいだけではありません。太陽光発電のローンは普通15年〜20年ですが、木更津については公庫に申し込んだ関係で、なんと10年返済なのです。そのため、返済額がほかよりも4割増しくらいになっています。逆に、10年で返済が終わるので、FIT期間の残り10年は返済なしでCFが入ってくるというわけです。IRRで考えると、返済期間は長いほうが当然いいのですが、まぁ仕方ありませんね。

発電所の評価額

さて、ではここまでのデータを元に、発電所の評価額を計算してみます。不動産や太陽光発電などの価値を、株式などと同等に比較するには、DCF法が適切ではないかと考え、割引率6%で現在価値を計算しました。

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 4基の発電所の評価額をまとめると、こんな感じです。計画値100%で計算した白子は、下振れが続く木更津の4倍の評価額になりました。むーという感じです。

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ちなみにこの計算はけっこう頑張っていまして、単純に収益ーコストでCFを出しているのではなく、償却費や借入金利、償却資産税を計算して税金を計算し、税払いを加味してCFを計算しています。木更津と白子は先端設備等導入計画の申請も通っているので、償却資産税3年免除も盛り込んでいます。その上でCFを6%で割り引いて合算し、現在価値を導いています。

 

では同じCFを、今度はIRRの観点で見るとどうか。木更津が残念がっかりなことになっていますね。ちなみにいすみと白子は発電実績がまだほぼゼロなので、売上予測は計画値ままです。白子の予測が計画を上回っているのは、先端設備等導入計画が決まったので、その分CFが改善しているせいです。

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太陽光発電の実際

太陽光は物件によってピンキリだということがよく分かります。日当たり次第とも言います。イメージとしては、FIT18円の低圧発電所1基につき、晴れていれば、時給800円くらいで働いてくれるイメージです。晴れていれば1日6000円くらい稼いでくれます。下記はエコめがねを入れた白子発電所の実データです。

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普通の15年ローンを組んだ場合、発電所1基あたり、CFが月間4〜5万という感じでしょうか。7基あれば月間28〜35万円、10基あれば月間40〜50万円というイメージ。もちろん、ここから税金やら草刈りやらの費用を払うので、もう少し実際は減ります。

 

ある程度フォーマットも固まったので、毎月太陽光発電所についても状況をまとめておきたいと思います。

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*1:各発電所とも、検針日が異なるため、実際は微妙にズレが生じています。木更津は7日検針、筑西は2日、いすみは22日です。また稼働直後は1カ月まるまる稼働していないので、発電量は少なめ

発電状況が分かる エコめがねって面白い

4号基となる白子発電所は、EPC業者がおまけとしてエコめがねを付けてくれました。こんなのいらないよね?と最初は思っていたのですが、病みつきになるほど面白いですね。

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エコめがねとは 

エコめがねは太陽光発電所に特化した発電量チェックサービスです。NTTスマイルエナジーというNTTグループの会社が提供しています。持ち株NTTが100%出資するNTTアノードエナジーの子会社となっています。

 

低圧発電所の監視システムとしては出荷量No1をうたっていて、7万2000件に導入されているということです。

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契約プランは月払いのレンタルと10年プランがあります。代理店経由の販売ということもあって、Webには料金は直接掲載されていませんが、10年プランで30万円程度のようです。ここには計測機器の代金とサービス利用料、保証料、通信に使う4G回線の利用料が含まれています。

エコめがねで分かること

エコめがねはWebページにアクセスして、登録のIDとパスワードでログインして使います。分かることはとってもシンプルで、ほぼリアルタイムの時間ごとの発電量、FIT単価をベースにした売電額です。また、各パワコンの稼働状況も確認できます。そのほか、地点の天気も表示されるのは地味にうれしいですね。

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データはCSV形式でダウンロードすることもできます。複数発電所の登録も可能で、まとめて確認できるようです。

 

また、発電量のチェックから異常検知&通知機能も持っています。

毎日、発電停止・通信停止等が無かったかをチェックし、異常・エラーを検知した場合は当日中にメールでお知らせします。発電量低下があった月にもメールでお知らせします。売電ロスを最小限に抑え、トラブルの早期発見をサポートします。

・発電停止(毎日チェック)
・パワコン停止(毎日チェック) ※パワコン接続タイプの商品のみ
・通信停止(毎日チェック)
・発電量低下(毎月チェック)

ぼくのプランはモバイルパックRS

遠隔監視システムにはいくつかの種類があって、パワコンから系統電力に送電する電線に取り付けて、電流値や発電量を計測するCTセンサータイプと、パワコンに直接接続するタイプがあります。

 

CTセンサーのほうが安価で接続できるパワコンを選ばないというメリットがありますが、パワコン接続のほうが詳細な情報が得られる代わりに高価です。

 

ぼくのプランはモバイルパックRS(パワコン接続タイプ)。接続図は次のようになっています。

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パワコン接続型だけに、各パワコンの稼働状況も確認できます。冬ではありますが、9時には複数のパワコンがマックスまで稼働し、4番、7番、8番はピークに達するのに時間がかかっているのがわかりますね。

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ほかの発電所にも何かしら入れようか?

こうやってリアルタイムに発電状況が分かると、ついついスマホでアクセスしてチェックしてしまいます。「あ、今日は6000円発電した!」「曇りだとここまで売電量が落ちるのか……」とかですね。

 

本当は、パワコンの異常など発電に問題があったときだけチェックできれば、実用上は十分で、その日やその時間の発電量なんて、株価の変動をついつい見てしまうようなものではあるのですが、面白いのは事実です。

 

1〜3号基については何も付けていないので、これを機にほかにも何かしら入れようかしら。考えてみたくなるアイテムでした。

 

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4号 白子太陽光発電所が連系

1月12日に、4基目となる千葉・白子の太陽光発電所が連系しました。さすがに4基目となると、それなりに慣れてきます。昨年末に工事中の現場を視察したときの状況も併せて、まとめておきます。

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 連系までの流れ

申し込みしていた物件が農地転用に失敗して、代替えの案件として2018年12月に紹介されたのがこの白子です。そのときに視察したときの写真がこちら。

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うっそうと木が茂っており、これは草刈りというレベルではありません。森であり、伐採開墾という感じです。

 

物件そのものは18円で、102.06kWの過積載、表面利回りは11.9%ですが、別途この“森”の造成代がかかるため、それを入れ込むと10.5%という内容でした。

 

そこから各種認定を取るのに2年がかかり、やっと準備が完了。つぎに工事か!と思った矢先に、当初経産省に出していたパネル容量の数字がもっと低いものだったことが発覚しました。認定上、これを修正することはできないそうで、モジュール発電量は87.42kWと大きく減少してしまいます。

 

代わりにEPC業者のほうでパネルを、JAソーラーからJINKOに変更。価格も抑えることで、表面利回りを12.8%に増してもらい、造成代を入れると11.1%という利回りでGOを出しました。

 

これでやっと……と思うもつかの間。今度は、敷地の東にある木を切らないと、かなり影になるだろうということが(いまさらながら)発覚。これによって造成代が50万円もアップしてしまいます。ここまで来てNGにしても仕方ないので進めてもらうことにしますが、結果、最終的な利回りは10.8%に。

 

良かったこととしては、白子市は太陽光発電所も先端設備等導入計画の対象のようで、2020年12月に先端設備等導入計画の認定も無事におりました。これで、3年間の償却資産税が免除です。ほかの発電所に比べて積載量が少なく、償却費も少なくなるのでちょっとロスではありますが、まぁ仕方ありません。

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土地決済は結局郵送で

毎回面倒なのが土地の決済です。今回は認定などが終わってから急ピッチで話が進んだため、事前の契約書取り交わしと手付金の支払いはなしで、土地の決済となりました。最初は、「いつ現地に来られますか?」という話でしたが、日程を調整している内に「郵送でもいいでしょうか?」となり、結局郵送で。

 

契約書を郵送でやり取りしたあと、司法書士の先生から電話をもらい、代金を振り込みました。振り込み後、登記変更の手続きがなされ、登記費用(6万3870円、高い!)を支払った後に、全部事項証明書や登記情報などが郵送されてきました。

 

ちょっと面白かったのは固定資産税の扱いです。売り主が、日割りでの計算にしたいということだったのですが、もともと山林で税金が安いうえに、年末の残り数日の契約だったので、なんと日割り計算で20円ちょっと。変なところにこだわる売主さんでした。

 

幸いなことに、今回も間に不動産屋が仲介に入ることはなく、直取引になったので、仲介手数料は払わずに済みました。

造成後の発電所

きれいに造成も終わり、まだ工事中のタイミングでしたが発電所の模様です。

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南側の道を隔てた先に2階建ての建物があるのと、その脇に樹木があるのは当初からちょっと気になっていましたが、まぁ開けた場所ですね。

 

パネルなどはこうなっています。

  • パネル JINKO JKM465M-7R3-J(465W) 188枚
  • パワコン オムロン KPV-A55-J4 5.5kW 9台

ジンコソーラーは2006年設立の中国メーカー。1枚あたりのW数が大きいので、枚数は188枚に過ぎませんが、87.42kWを実現しています。パワコンはおなじみのオムロンKPV-A55-J4です。

 

敷地には余裕があり、経産省に出した容量を変更できないという罠があるとは思ってもいませんでしたが、業者側の値引きでまあなんとか数字は揃えることができました。こちらの発電状況がどうなるか、楽しみです。

 

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マキタ電動草刈り機「MUR191UDRG」レビュー

太陽光発電所の草刈りのために、マキタの電動草刈機を買いました。その使い勝手について、ショートレビューです。

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18V チップソーUハンドル分割モデル「MUR191UDRG」 

マキタはさまざまな電動草刈機をラインナップしていますが、今回選択したのは 18V チップソーUハンドル分割モデルの「MUR191UDRG」 です。 

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 ラインナップの整理は次のようになります。まずバッテリーのボルト(V)によって、3種類+アルファに分かれます。

  1. 10.8V パワー小 ライト版
  2. 14.4V パワー小 ライト版
  3. 18V メインライン
  4. 36V(18V+18V) パワー版

この中で、今回はメインラインの18Vを選びました。

 

さらに歯の形状として、チップソー(回転金属板)と樹脂歯(3本歯)とナイロンコードがあります。チップソーが最もパワーがあり本格派ですが、その分取り扱い注意。ナイロンコードのほうは手軽版です。

 

そして持ち手のハンドルにも種類があります。ポピュラーなのがUハンドル、手軽になるに連れてループハンドル、2グリップという感じです。

 

今回は、最もメジャーで本格派のチップソー&Uハンドルを選びました。さらに、柄が2分割できるものとできないものがあり、ぼくが選んだのは2分割ものです。

 マキタの器具はバッテリーが共通化されていて、1つのバッテリーをほかの器具でも使い回せます。ぼくは初のマキタ製品だったので、バッテリーと充電器付きのモデルを。サードパーティから安価な互換品も出ていますが、今回は純正品セットです。

エンジン版と比べてどうか

このマキタの電動草刈機、18V版は「22mLエンジンと同等の使用感」をうたっています。ぼくは実際にエンジン版を使用したことがありますが、どうだったでしょうか?


筑西2号基 草刈り(2020年12月)

こちらは、筑西2号基の草刈りに2020年12月に行ってきたときの映像です。本来、U字ハンドルの両方を両手で持って体全体を左右に振って刈るのですが、これは撮影のために片手で操作しています。ちょっと危ないので、注意です。

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 使った感じとしては、思ったよりもパワーがあり、確かにエンジン版に引けを取らないパワーでした。数値的なものはわかりませんが、体感では同等といっていいでしょう。ではエンジン版との違いはどのあたりでしょうか。

極めて小さい振動

エンジン版を使ったことがある人なら、あの2サイクルエンジンの振動が手にすごい影響を及ぼすことを知っていると思います。ブルブル震えるために手がおかしくなり、30分以上連続使用すると、そのあと数時間は手が震えっぱなしになってしまいます。

 

まぁそのくらいでいったん安めといういことなんでしょうけど、これがエンジン版の最大のネックでした。身体を痛めるのです。ところが電動版は当然ながらそんな振動はなし。これなら長く使っても問題ありません。

極めて小さい音

2つ目は音です。エンジンは当然けっこうな音がします。原チャリを運転しているときの音が鳴り続けるという感じでしょうか。山の上とか農耕地ならばそれでもいいのですが、住宅地の中にある発電所では、これはけっこう近所迷惑です。

 

電動版はここもクリア。当然ですが、キュイーンという音以外は聞こえません。

30分は十分に稼働

逆に、電動版で最もきになるのは稼働時間です。エンジン版は、ガソリンさえ入れればずっと動き続けます。感覚的には数時間使ったくらいでは入れたガソリンは全然持つため、別途燃料缶がなくても、1日の草刈りくらいはなんとかなる感じでした。

 

では電動版はどうでしょう。今回30分くらい草刈りしましたが、バッテリー切れの気配はなし。バッテリーが切れるまでは使えませんでしたが、少なくとも30分は平気な感じです。

 

新モデル「MUR191UDRG」には、「楽らく」モードというのがあり、これが電力削減に貢献しているのでしょう。これは、3段階の速度を、負荷によって自動で調整するというものです。切っているときはパワーが増し、宙を泳いでいるときはローパワーに自動的に変更になります。

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ちなみに、草刈りをしていると頻繁に草が絡まるのですが、このときは「リバース」ボタンを押して逆回転させて絡みを取ります。

 

通常操作法としては、手首側のボタンを握りながら押し込むとロックが外れ、指でレバーを引くと歯が回ります。

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組み立てのやり方

ちなみに、MUR191UDRGは届いたら組み立てる必要があります。丁寧な説明書があるのですが、どんな感じか簡単に説明を。自分で取り付けるのは大きく2つ。

 

U字ハンドルは、上下からパーツをはめて4つのナットを締め込みます。

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もう1つは、チップソーのカバーとなる樹脂のパーツを本体に取り付けます。注意点としては、U字ハンドルとは取り付けのボルトの長さが違うことですね。

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この2つのパーツの取付については六角レンチが付属しており、このレンチは次のように本体に貼り付けて保管できます。

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最後に、チップソー自体を取り付けます。こちらチップソーと取付金具、ナットの順番があるので、そこを間違えないように。ぼくは一回間違えて、あれ?おかしいなとおもってやり直しました。こちらはもっと大きなナットを使います。工具は付属しますが、大型レンチは本体には取り付けられません。

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できあがった歯周りはこんな感じ。プロテクターをちゃんとつければそれほど危なくはありませんが、回転させれば指を軽く吹き飛ばせるパワーなので、取り扱いには要注意です。

 

エンジン版を何度か使っていたので、その良し悪しもある程度はわかっていたつもり。それに劣るならいやだなぁと思っていたのですが、電動版は全く遜色ないというのが現時点での感想です。ガソリンの取り扱いがないので、油で手や周りが汚れないのもいいですね。

 

また別の発電所の草刈りにいったら、追加のレビューを入れたいと思います。

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