MONEY INSIDER誌に「FIRE達成者が犯しがちな"間違い"は4つある」という記事がありました。スパコンSE(@hyoshionnu)さんがこれについて記事を書いていて、面白かったので、ぼくも乗っかってみました。
1. 何かから逃れるために退職する
いきなり重い「間違い」が来ました。要は仕事から逃げるためにFIREするのは間違いだ、っていうい話です。なんか綺麗事としては分かります。でも、仕事が好きで好きでたまらないのに辞めてFIREする人なんて、本当にいるんでしょうか?
何をかくそう、僕自身も「仕事が嫌で逃げて」FIREした一人です。まぁはっきり言って仕事が楽しくありませんでした。出世して管理職になったものの、やることといえば、会議、面接、評価、資料作り。会議、面接、会議、会議……。給料は確かに高くなったものの、なにこれ、楽しいの?
もちろん会社の中でポジションが上がるということは、裁量も増すということで、けっこうな資金を投じた新規事業とかもやらせてもらいました。結果はまぁ1勝1敗といったところでしょうか。事業において100発100中というのはリスクを取らなすぎだと思うので、トータルで見れば良い成果だと思っていますが、周りの評価は知りません。ただ、自分がいなくても事業が回るようにするというのが基本だと思っているので、軌道に乗ったら僕の手を離れていきました。なんだかな。
ぶっちゃけ、出世競争に負けてもういいかな。と思ったところもあります。仕事つまんないなぁと思いながらも、人並みに出世欲はあるんですね。社長になるのは厳しいかなと思ったあたりから、別のキャリアパスを考え始めたのも事実です。子会社の社長になって上場を目指すっていう選択肢もなくはないわけですが、これもまた面白そうには思えなかった。
2. 実験が足りない
せっかくFIREしたならルーティンに満足するのではなく、いろいろなことにトライして実験してみろ――という主張です。
こっちのほうは実のところうまくやれています。というか、昔から新しいことにトライするのが好きでした。それが日常のルーティンになってしまうと、だんだん関心が薄れていくタイプ。
FIREすると、自由にできる時間は相当に増えます。お金は?というと、もともとはちゃんと節制して過ごす考えでしたが、蓋を開けてみると好調な相場に支えられて、資産額はセミリタイア時の3倍くらいになっています。なにかにトライすることに対し、時間もお金も制約条件にならないという幸せな状況です。
ただ制限が何もないわけではありません。一つは体力です。若いときは徹夜してでも趣味に没頭したものですが、もはや身体がもちません。激しいスポーツをしようにも、動体視力や反射神経が付いていきません。しばらくサーキットを走ってタイムを削るのにやっきになっていたのですが、もう身体がもたないと思って、シビアに走るのは止めました。スキーのワンメイクやモーグルが趣味だったのですが、腰と膝を痛めてしまい、もうハードな滑りはできません。
そして最も貴重なリソースがパッション=情熱です。何事も情熱がなければ初められませんし、情熱が消えれば継続もできません。受け身の消費ならば、例えば単に動画を見るだけなら情熱は不要ですが、何かを作り出すとか新しいことを習うとか、スポーツを行うとか、そういうことにはパッションが重要。で、パッションは簡単には出てこないですし、ふとした瞬間に失ってしまうものなのです。
3. 経済的に自立できたことに誇りをもっていない
これは要するに、「僕は無職です。資産を構築していわゆるFIREしました」と胸を張っていえるか? という話ですね。
米国は比較的富を築いた人の早期リタイアに寛容な国だと思っていたのですが、それでも、
私は、経済的自立について話すのを完全に避けたり、「在宅でコンサルティングをしている」など、何らかの仕事をでっち上げたりする人を見てきた。
という傾向があるものなんですね。
確かに「資産があって無職です」と言うことは、嫉妬ややっかみの対象になるものでしょう。特に日本では米国以上にその傾向があるんじゃないかと思います。先日のFIREイベントで話した内容が記事になり、それがNewsPicksやヤフーニュースに掲載されたのですが、そのコメントを見ると、次の2つに大別されました。
- 私はFIREなんてしたいと思わない
- FIREなんて夢のまた夢だ
記事自体は、「FIREを目指す人はこのくらいの資産を構築すべきだ、またそのために最も重要なパラメータはこれだ」ということを書いたもので、別にFIREオススメ!とも誰でもFIREできる!とも書いていません。それでも上記のような反応があるわけです。
幸い、ぼくはXやブログを通じて投資家・FIERコミュニティの皆さんと交流させていただいています。この中のメンツだと、資産数億円なんてごろごろいるし、ほとんどの人は資産額なんて気にしてません。嫉妬もやっかみも受けることなく、「あの銘柄どうだった?」「日銀のETF売却をどう活かそう?」「9月の優待、どれがオススメ?」「最近の融資状況ってどうよ?」「うまい節税の方法は?」なんて話題で話ができるわけです。
そういうコミュニティがあって初めて、経済的に自立できたことを恥じたり隠したりすることなく、誇りを持てるというのが日本のFIRE界隈の現状なのかもしれません。
4. 退職するのが遅すぎる
そうそうそうそうそう! これはほとんどのFIRE達成者が振り返って、間違いだったと話すことです。中には必要生活費の見積もりが甘くて資産が足りなくなり「FIRE卒業」なんて方もいますが、ぼくが知る限りほとんどのFIRE達成者は、必要以上に資産を構築してしまうものです。
ぼくは2018年にセミリタイアし、2023年に退職してFIREしたわけですが、セミリタイア→FIREに5年もかけてしまいました。この間、コロナ禍もあって完全リモートワークだったこともあり、敢えて退職する理由もなく過ごしてしまったというのが真実なのですが、それでも退職後の自由度と精神的・肉体的な開放感は強烈でした。
当初は2019年くらいには退職してFIREしようと思っていたのですが、それをずるずる伸ばしてしまったわけで、振り返ると初志貫徹してさっさと会社を辞めればよかった。そんなふうに思うのです。
総合得点
さて4つの間違いについて自分はどうだったか振り返りをまとめます。Xが間違いをしてしまった/◯は間違わなかった、です。
- 何かから逃れるために退職する ✗
- 実験が足りない ◯
- 経済的に自立できたことに誇りをもっていない ◯
- 退職するのが遅すぎる ✗
仕事から逃れるために退職してしまい、かつ退職するのが遅すぎるという”間違い”をしてしまいましたが、幸いなことにいろんな実験を繰り返していますし、経済的に独立していることに誇りも持っています。2勝2敗。それが僕の状況でした。


Xで興味深いポストが流れてきました。「資産1億円が一番楽しくて、資産が5億を超えてくると幸福感が著しく低下する」というのです。その理由は? で九条はどう思うのでしょうか。






Forbesが「経済的自立と早期リタイア「FIRE」を実現するため、今日から始めるべき習慣17選」という記事を挙げています。何人かのブロガーの方が取り上げていて、なかなか示唆深かったので、僕の考え方も書いておこうと思います。


Xでのやり取りをきっかけに、FIREした人とお会いすることが多いのですが、そこには共通した特徴があります。他責思考の人が全然いないということです。他責思考というのは何か問題が起きたときに「これはアイツのせいだ」とか「政府が悪い」「景気が悪いのが原因だ」など、責任を外に求める考え方のことです。では、なぜFIREした人に他責思考の人はいないのでしょうか。



ぼくが株クラでお会いする方の中には、すでに資産形成を終えていて取り崩しに入っている方がけっこういます。そうした方とお話するときに話題になるのは、どう資産を増やすかというよりも、どう資産を使うかという話。素晴らしい使い方をされている方を参考にさせていただきましょう。




このレポート自体は5ページという短いものなので簡単に読めますが、内容をざっくりまとめると次のような流れの論になります。
FIREした人たちが集まると定番で出てくる話題に「何にお金を使うか?」というのがあります。サイドとかバリスタとかは別として、FIを達成してREした人のほとんどは、こういう心境になっている人が多い。今回、FIREされた人たちとのランチでも、この話題が出ました。
Xで匿名相談を受け付けているのですが、今回「REの勇気が出せない。メンタルについて悩んでいます」という長文の相談を受けたので、こちらブログにて回答したいと思います。
さてこうした前提で相談者の問に答えてみましょう。まず、会社勤めではなく自営業なので、退職ではなく引退をするかどうかの悩みですね。